11月の芝生の手入れ 基本作業と注意点

日本芝(高麗系)の11月の手入れ

11月の日本芝の生育状況

11月の姫高麗芝の様子

11月になると高麗芝の生育もほぼ止まります。芝生の色づきが衰えてくると、見る楽しみがなくなるので手入れをさぼりたくなりますが、来年のためにもしっかり手入れしておきましょう。


芝生の着色剤

冬でもグリーンを維持する方法のひとつに着色剤の塗布があります。芝生用着色剤は葉の退色があまり進まないうちに施工することをお勧めします。葉の退色が進んでからの施工は、色の乗りが良くないことがあります。

関連ページ:芝生用着色剤

11月の芝生の雑草対策

高麗芝の色があせてくると雑草が判別しやすくなります。なるべくこまめに抜いてやりましょう。特に穂を出している雑草は、次世代の種を落される前になるべく早めに抜き取ってください。多年生雑草や根で増えるタイプの雑草は除草剤での駆除をお勧めします。土壌処理効果のある除草剤をまいておくと、冬雑草の発芽を抑制することができます。

気温が下がるにつれて植物の代謝は低下します。除草剤の成分吸収や効果の発現も遅くなりますので、あせらず様子を見てください。

関連ページ:芝生の雑草対策

11月の芝刈り頻度

11月に入るとほとんど成長は止まりますので、タイミングを見て刈り止めにしてください。刈り止めは最初からいつと決める必要はありません。結果的に前回の芝刈りが刈り止めだったという形でも大丈夫です。休眠前はなるべく長めに葉を残しておくことをお勧めします。そうすることで、枯れた葉が布団代わりなって寒気から根を守ってくれます。霜柱が立ったりしますと根を傷める恐れがあります。

この時期は、葉が伸びなくとも穂が出てくることもあります。穂が伸びてきたら余分に栄養を取られてしまいますから、穂刈りをして取り除いておきましょう。

関連ページ:芝刈りについて
関連ページ:芝生に穂が生えてきた
関連ページ:霜柱から芝生の根を守る

11月の芝生の水やり

基本的には必要ありませんが、過度の乾燥状態は避けてください。特に春に発症する病気(春はげ症や立ち枯れ病・ゾイシアンディクライン)が例年のように発生している芝では、秋から冬にかけての過乾燥が病気を助長することがあります。

関連ページ:芝生の水やり・散水

11月の芝生の施肥

肥料の説明書に従って与えてください。ほとんどの肥料が遅くとも11月で最後になります。9月や10月にあまり肥料を入れていない場合は、11月の早い段階で与えておきましょう。気温が低下するほど肥料吸収は衰えます。秋の施肥は来年春の立ち上がりに影響しますので、できるだけ栄養を蓄えさせて休眠させてください。

関連ページ:芝生の肥料について
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11月の芝生の害虫

気温低下とともに害虫の活動も衰えますが、芝生の成長はほぼ止まりますから害虫の食害が発生すると修復しないまま来年を迎えることになります。食害の気配が気になる場合は、早めにスミチオンなど接触性殺虫剤(薬が害虫に触れると死ぬ)で対処しておきましょう。

関連ページ:芝生の害虫対策

11月の芝生の病気

ラージパッチや像の足跡病が発生することがあります。症状が気になる場合や、あらかじめ予防しておきたい場合は適用のある殺菌剤を散布しておきましょう。春から秋にかけてしっかり予防資材を入れていた芝生では、秋の病害リスクはかなり低減していると思います。

春に萌芽が遅れる症状が出る春はげ症や立枯病(ゾイシアンディクライン)は、秋に罹患しますからこの時期の殺菌剤散布が有効です。毎年春に発芽が遅れる症状が出る場合は、これらの病気に適用がある殺菌剤を散布しておきましょう。

自宅の庭や隣接地に落葉樹がある場合は、芝生への落ち葉の堆積に注意が必要です。芝生に落ち葉が積もったままにしておきますと、光合成ができずに体力が低下して罹患しやすい状態になり、さらに多湿や通気性の低下から病原菌が繁殖しやすい環境になることがあります。なるべくこまめに落ち葉を取り除くようにしてください。

関連ページ:芝生の病害対策
関連ページ:ラージパッチ(葉腐病)の症状と対策

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寒地型西洋芝の11月の手入れ

11月の寒地型西洋芝の生育状況

11月のケンタッキーブルーグラスの様子

11月になると夏に傷んだ芝生もかなり修復が進んでいることでしょう。気温低下とともにやや成長が衰えてきますが、まだ修復は進みますので成長を促してください。


11月の芝刈り

週1~2回ぐらいのペースを目安に芝刈りをします。雨の降り方や散水頻度によって成長具合が変わりますので、様子を見ながら芝刈りペースを調整してください。


11月の水やり

雨が降らないようなら週1~2回を目安に散水してください。雨が適度に降る場合は、散水はほとんど必要ありません。


11月の肥料

粒状肥料(固形肥料)を説明書通りに与えます。肥料によって散布時期やタイミングが異なりますので、説明書の通りに散布してください。応用的な使い方ができる方は様子を見ながらタイミングや量を調整してください。

修復を促すために、光合成を促進する成分の入った液体肥料を併用すると効果が期待できます(ケイ酸、カルシウム、鉄、苦土、カリ、ミネラル)。発根向上資材の併用も成長促進効果があり、修復を促します。

耐寒性を徐々に高めたい時期でもありますので、葉の表皮を強化するケイ酸、細胞壁を強化するカルシウム、耐寒性を高めるカリや糖の入った液肥を定期散布しておくといいでしょう。


11月の病気 予防と対策

気温が低下するごとに病害リスクは序所に低下しますが、まだまだ油断はできない時期です。あらかじめ予防策として殺菌剤を散布しておくか、症状が出始めたら早めに殺菌剤で対処してください。

■発生の可能性がある病害
さび病、ダラースポット病、ピシウム病、フェアリーリング病、ヘルミントスポリウム葉枯病、細菌病、紅色雪腐病、雪腐小粒菌核病

11月の害虫 予防と対策

気温低下とともに害虫の活動もおさまってきますが、部分的に枯れる、密度が低下する、地上部分がポロポロ取れるなど、害虫の食害と思われる症状が発生したら即効性のあるスミチオンなどを散布して駆除しておきましょう。予防的な薬剤散布をする場合は、食毒性のオルトランなどを使用します。食毒性の殺虫剤は、薬剤が芝生に浸透することによってそれを食べた害虫が殺虫されます。食毒性の殺虫剤は薬が触れて殺虫するものではありませんので、即効性は期待できません。薬剤の特徴を理解して使用してください。


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