8月の芝生の手入れ 基本作業と注意点

日本芝(高麗系)の8月の手入れ

8月は最も成長旺盛になる時期

8月の姫高麗芝の様子

8月はシーズン中で芝生に一番勢いがある時期です。こつこつと芝生の手入れをしてきたご褒美に、芝生が美しい姿を見せてくれます。芝生を一番楽しめる月ですので、芝刈りをこまめにやって美しい芝生を堪能してください。ただし、近年の猛暑で35℃以上の晴天が続くような場合はやや夏バテになることもあります。水切れや肥料切れには注意してください。


高温期の資材散布の注意事項

8月は1年で最も暑い時期となり連日のように30℃を超え、近年では35℃を超える日も珍しくありません。気温が高く日差しが強い時は日中の資材散布は避けてください(粒、粉、液体など全て)。高い気温と強い日差しの中で資材散布をしますと、葉焼けなどで傷みが発生することがあります。朝なるべく早いうちか夕方涼しくなってから資材散布をしてください。

また、芝生用除草剤は気温が高くなるほど薬害リスクが高くなりますので、夏季の除草剤散布は見送ることをお勧めします。


芝生の雑草対策

コニシキソウやメヒシバなど夏の雑草の成長が旺盛になります。メヒシバが群生してから抜き取りをすると、芝生がそこだけはげたようになりますので、成長しすぎないうちに抜いておきましょう。1年生雑草は種を落される前に抜き取っておくと、次の世代が生えてこなくなります。

カタバミやカヤツリグサ科の雑草(ヒメクグ、ハマスゲ)が生えてきた場合は除草剤でないと駆除が難しいです。ただし、8月は1年で最も気温が高くなることから除草剤の薬害リスクが高くなります。雑草の成長が旺盛な時期だけに除草剤で手っ取り早く駆除したいところですが、秋になって気温が下がってからにしましょう。

夏に生えてくる雑草は、6月に土壌処理効果(発芽抑制の効果)がある除草剤を散布しておくと非常に楽になります。


芝刈り

芝生の長さ15~25mmぐらいを目安に芝刈りをします。芝生の成長が旺盛になりますから週1回のペースで芝刈りするのが理想です。特に施肥の後は勢いが増しますので刈り込みのタイミングを逃さないようにしてください。

日中の芝刈りはは芝生も人間もダメージが大きいので、日が傾いて気温が下がってからの方がいいでしょう。芝刈りした後の爽快感はこの時期が一番です。芝刈りした翌朝、朝日に映える芝生はとてもきれいに見えます。

関連ページ:芝刈りについて

芝生の水やり

芝生の様子を見ながら1~2日に1回のペースで水をやってください。8月は30℃を超える真夏日が続きますし、35℃を超える猛暑日も珍しくなくなってきました。高温時の水不足はかなりダメージがありますので、水切れには十分ご注意ください。

雨がよく降る場合は、それなりに散水間隔を空けても大丈夫です。

関連ページ:芝生の水やり・散水

芝生の施肥

用量の範囲内で肥料を与えます。肥料には、毎月与えるもの、隔月で与えるもの、月に2~3回与えるものなど、さまざまなタイプがあります。説明書をよく読んで、用量を守ってください。即効性を求めるなら、粒状のものではなく液肥にした方がいいでしょう。粒状肥料を散布したときは、必ず水をたっぷりまいておいてください。水やりをしないと芝生が肥料焼けをする可能性があります。踏まれたりして傷みやすい箇所は、肥料や水をしっかり与えて生育を促してください。

関連ページ:芝生の肥料について

芝生の病気

春の病気であるラージパッチはよほどひどい症状か放置していたかでない限りはほぼ治癒しているでしょう。6月から発症するカーブラリア葉枯病は、梅雨明け後の天候が良ければ快方に向かいます。ただし、曇りや雨の日、多湿で無風の日、大量の夜露など葉枯病の好む条件が続く場合は8月でも悪化することがあります。無農薬での対処は難しい病気ですから、早めに殺菌剤で対処しておくことをお勧めします。

関連記事:カーブラリア葉枯病の症状と対策
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芝生の害虫

芝生のシーズン中は常に何らかの害虫が存在しているものとして警戒しておきましょう。

芝生に変化が現れないようで実は害虫の食害が発生していることも多いのですが、この時期は芝生の成長が旺盛なので被害が目に付きにくいこともあります(害虫が食べるより成長の方が早い)。ただし、多数の害虫が発生している場合は、密度低下や部分的な枯れが症状として現れます。被害が目立つようならスミチオンなどの殺虫剤で早めに対処してください。あらかじめ食毒性(浸透性)のオルトランなどで予防しておくことも有効です。

関連記事:芝生の害虫対策
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寒地型西洋芝の8月の手入れ

8月のケンタッキーブルーグラス

寒地型西洋芝にとっては、1年で最も厳しい季節になります。成長が衰えますから、一度傷んでしまうとこの時期の回復は期待できません。


芝刈り

成長が衰えてきますから、様子を見ながらペースを調整してください。7月に刈り高を上げた場合は、それを維持します。葉にも夏越しのための栄養がありますから、この時期に刈り高を下げると体力を消耗させることになります。


水やり

毎日散水が基本です。日が昇りきって暑くなる前に散水はすませてください。日中は蒸れますから散水は控えてください。夕方の散水は病害を助長することがありますので、仕事の都合でどうにもならない場合を除いて、できるだけ朝の散水をお勧めします。

日中にミストで散水して葉を少しだけ濡らしてやることにより、気化熱によって芝の温度を下げてやる暑さ対策もあります(シリンジング)。日中の高温下で地面を湿らせると蒸れることがありますので、シリンジングをする場合は散水量に注意してください。


肥料

真夏にしっかり肥料を与えてしまうとかえって負担になることがあります。薄めの液体肥料を葉面散布でこまめに栄養を与えてください。アミノ酸、鉄、苦土、ケイ酸、カルシウム、カリ、ミネラル(微量葉素)が入った液体肥料をこまめに与えることで、芝生の体力維持が期待できます。


病気

暑さと体内の栄養の消耗によって病害リスクが高くなります。この時期に発症して傷んでしまうと回復は9月以降になります。症状が深刻になる前に予防資材や殺菌剤で抑制しておきましょう。

■発生の可能性がある病害
いもち病、サマーパッチ、ダラースポット病、立ち枯れ病、ドライスポット(*)、ピシウム病、フェアリーリング病、ブラウンパッチ(葉腐病)、ヘルミントスポリウム葉枯病(**)、炭疽病、細菌病、赤焼病

*ドライスポットは砂をメインにした床土で発生しやすい症状です。
**好天続きの場合は発生リスクが低下しますが、冷夏では発生リスクが出てきます。


害虫

11月ごろまでは常に何らかの害虫が存在している可能性があることを前提に対処してください。発生数が多い場合は被害が大きくなりやすく、芝生の再生も阻害されますので、早めに対処しておきましょう。部分的に枯れる、密度が低下する、地上部分がポロポロ取れるなど、害虫の食害と思われる症状が発生したらスミチオンやダイアジノンなどを散布して駆除しておきましょう。予防的な薬剤散布をする場合は食毒性のオルトランなどを使用します。食毒性の殺虫剤は、薬剤が芝生に浸透することによってそれを食べた害虫が殺虫されます。食毒性の殺虫剤は薬が触れて殺虫するものではありませんので、薬剤の特徴を理解して使用してください。


夏越し対策

1日中適温を上回る気温の日が大半となり、光合成は衰えて体内の栄養を消耗が続きます。条件が悪いほど体内に蓄積した栄養を生存エネルギーに転換して消耗しますから、病虫害などのダメージはできるだけ発生しないように対処してください。根からの栄養吸収が弱まりますから、液体肥料による葉面散布でこまめに栄養を与えてください。


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