芝生のレイアウトを考える
メンテナンスのしやすさに影響するレイアウト
芝生をどのようにレイアウトするかによって、後のメンテナンス性に影響があります。シンプルなレイアウトはメンテナンス性は高くなりますが、見た目の物足りなさもあるでしょう(管理人はシンプルなレイアウトが好みです)。
逆に複雑なレイアウトにすると、変化や庭全体の美しさは楽しめますが、細かい仕上げをするためには時間と手間がかかるようになります。メンテナンス性と見た目のバランスを考えてレイアウトを検討してください。
優先するのはメンテナンス性? 変化に富んだレイアウト?
芝生を植えた後には、芝刈り、際刈り、肥料散布、散水、目土入れ、農薬散布など、様々な手入れをする必要があります。これらの作業を簡易に行うためには、スクエアな形状のレイアウトが最適です。理想を言えば、芝刈りの際にターンするスペースがあると最高でしょう。芝刈りは往復しながら位置をずらすだけで終わりますし、際刈りも四辺だけで済みます。
植えてから何年かたつと分かりますが、際の処理は意外と手間がかかりますから、際が少ないほうが省力管理になります。肥料や農薬など散布も四角形レイアウトならどこまで散布したかが分かりやすく、うっかり重ね撒きや撒き残しが発生しにくくなります。
芝生をきれいに維持するためには、シーズン中は最低でも週1回ペースでの手入れが必要になります。忙しくて時間が取りにくい方は、メンテナンス性も検討しておくことをお勧めします。芝生をスクエアにしたら殺風景になる、そんな心配があるようでしたら、植木鉢やハンギングで季節ごとに花を植え替えるなどの工夫をしてみるのもいいでしょう。
直線を基調としたシンプルでスクエアな芝生は、芝刈りや肥料散布などの作業がしやすくなります。
カーブを多用しレイアウトに変化を持たせると見た目が良くなるが、ツールが直線的に使えなくなるなど作業性は低下します。複雑な形状になると芝刈り機もストレートに走れなくなり、毎週行う芝刈りだけでも時間がかかるようになります。
シーズン中は毎週のように手入れをしなければなりませんから、その負担を踏まえながら好みに合わせてレイアウトを検討してください。
もちろん、芝生を張った後からでもカットしてはがすなどしてレイアウトを変えることはできます。
オーナメント(装飾)とのバランスを考える
庭のレイアウトに変化を与えるために、オーナメント(レンガや枕木などの飾り)を設置することもよくあります。管理人宅の芝生にも、人が歩くための飛び石や飾りのレンガ、枕木、植木などの装飾が施されています。これらはレイアウトに変化を与えて景観を美しくすることに役立ちますが、同時にメンテナンス性には影響が出ます。シンプルなレイアウトが好み ただのめんどくさがり の管理人としては、後悔している点の一つです。
いろいろな装飾があるとそれらを避けるように芝刈りをしなければなりませんから、芝刈りの醍醐味が薄れてしまいます(と管理人は感じる)。肥料や農薬などの資材散布も装飾を避けながらになりますし、やや手間が増えることになります。
装飾がある分だけ際も増えますので、際刈りの手間も増えます。前述しましたが、際の部分は年がたつごとに面倒なことになりやすいのです。これらの手間も含めて楽しめるタイプの方は、大胆なレイアウトも可能でしょう。そうでない方は装飾が増えるほど手入れの手間が増えることを前提に、バランスを考えながら検討してください。装飾がありながらきちんと手入れされた芝生の見ごたえがあるのも確かです。
飛び石などのオーナメントが増えると、その分だけ際刈りをする手間が増えます。きれいに際刈りがされている場合はとても見ごたえがありますが、放置してしまうとややや見た目に物足りなさが出てきます。
植木と芝生の共存について
管理人宅の芝生にも、シンボルツリーのヤマボウシが植えてあります。芝生の中に生えるシンボルツリーは、庭の象徴的な装飾でもあり、丘の上の大木のようなイメージで憧れる方も多いでしょう。
今まで手入れをしてきた中で感じるのは、芝生と植木の共存はやや難しいということ。芝生は肥料食いですから肥料をしっかり与えます。しかし植木は多肥で問題が出るケースが多い。日当たりに関しても、芝生はお日様が大好きだけど、ヤマボウシはあまり強い日差しは得意ではない。適応環境の違いのせいか、ヤマボウシは毎年梅雨時期から病気が発生し(おそらく黒点病)、葉が枯れたようになって秋の紅葉が楽しめない状況が続いています。農薬を使っていませんので、殺菌剤で解決できる問題かどうかまでは確認していませんが、芝生が好む環境とは異なる性質の植木を植えると、問題が発生するリスクが高くなることは考慮しておく必要があるでしょう。
芝生と植木の混植で影響が出るのは植木ばかりではありません。植えた樹木が落葉樹だった場合、秋には芝生に落ち葉が積もります。これを放置すると通気性が衰えて湿りがちになり、病気の発生リスクが高くなります。
また、植物には自分だけが生き残ろうとするアレロパシーという作用があり、相手の植物を弱らせることがあります。実際、ゴルフ場では植木の周りの芝生が不自然に枯れるという現象が発生することがあり、アレロパシーが一因ではないかと言われています。
芝生の中やすぐ近くに樹木を植える場合は、影のでき方に注意してください。影ができる時間が長いほど光合成に影響し、密度が上がりにくかったり病虫害に遭いやすくなったりします。時期によっても影のでき方は違いますので、日が高い時期とそうでない時期の太陽の位置も想定しながら検討してください。
また、成長が早かったり茂りやすい樹木はその分だけ影も大きくなります。影の面積が大きくなると芝生への影響も大きくなりますから、成長具合も踏まえながら樹木の種類を検討してください。選定によって影をコントロールすることも可能ですが、成長が早いほど選定も頻繁に行う必要があります。
芝生の中に樹木を植えると100%問題が発生するということではありませんが、なんらかの障害が発生する可能性があることを考慮し、植えても1本程度にしておく、植木屋さんに芝生との相性を確認する、などの対策を検討してください。
できれば風をさえぎるものを設置しない
もしこれから外構を検討するのであれば、フェンスや生垣はあまり高くしないことをお勧めします。芝生を健康に維持するためには風通しもとても大切ですから、フェンス以外にも風をさえぎるものはできるだけ避けることをお勧めします。
すでにフェンスなどが設置済みで風通しをあまり確保できない場合はやや病虫害リスクが高まると思いますので、無農薬にこだわらずある程度農薬を併用するスタイルを検討することも必要でしょう。
囲むようにフェンスを設置すると風通しが悪くなります。できるだけ低くしたり、隙間があるタイプのフェンスにして風通しを確保するようにしてください。
もちろん、風通しが良くないからといって芝生が維持できないわけではありませんので、「できればやっておきたいこと」として検討してください。管理人の自宅も地形的にあまり風通し良くない場所にありますが、芝生は維持できています。ただ、「もっと風通しが良かったらなあ」と感じているのは正直なところです。
駐車場の芝生化は要注意
せっかくだから駐車場も芝生化したいと考える方もいらっしゃるでしょう。駐車場の芝生化にはいくつか考慮しなければならない点があります。
一つはタイヤによる踏圧です。車は1トンを超える重量がありますから一つのタイヤにかかる重量も200kg以上とかなりの重さになります。駐車場を前面芝生化した場合は、毎日のようにその重さで踏まれることになりますから、タイヤが通る部分がはげてしまうのは間違いないでしょう。また土のまま補強しなければへこんで轍(わだち)になることも避けられません。
踏圧の解決策としては、管理人宅のようにタイヤが乗る部分に枕木などを入れたり(自動車の重量に耐えるものが必要)することが有効です。また、公共の場所や会社の駐車場などで使われている資材に、駐車場用の芝生保護材(ターフパーキングなど)もあります。
また、日中車を置きっぱなしになることが多い場合は芝生が日照不足になることがあります。まったく日があたらない状態が続きますと、徐々に弱っていき最後は枯れてしまいます。カーポートを設置する場合も日照に影響が出るでしょう。
駐車場を芝生化する場合は、踏圧からの保護と日照についてよく検討しておくことをお勧めします。
庭の照明はできるだけLEDに
芝生を植えた後は害虫が発生するリスクがあります。芝生を好む害虫は蛾やコガネムシなどの幼虫ですが、それらの成虫は夜行性ですから庭の照明に引き寄せられて卵を産み付けに来ることがあります。
これらの害虫をできるだけ寄せ付けないためには、照明をLEDにしておくことをお勧めします。LEDは害虫が好む紫外線が少なく、光が出ていることを認識されにくい特性があります。