ミミズは芝生にとっては害虫です

ミミズの塚

春や梅雨、秋に見られる写真のような小さな土の盛り上がり。これはミミズの塚です。ミミズは土壌の有機物を土と一緒に食べて、糞として排出します。この活動は土壌改良(団粒化や栄養供給)につながるため、菜園や花壇などでは益虫として認識されています。しかし、芝生では糞塚が景観を汚すことや、塚が芝刈り機の刃を痛めることから害虫(不快害虫)として位置付けられています。





芝生のミミズを放置するとどうなる?

最初は少なかったはずのミミズも、次の世代の卵を産むたびに増えていきます。ミミズが増えると土壌有機物(古い根、サッチなど)を食べて分解し土に戻すという土壌改良効果があるのですが、芝生の場合は喜んでばかりはいられません。盛り上がったミミズの塚は、芝刈り機の刃を傷める原因になりますし、景観も悪くなり気持ちのいいものではありません。

また、ミミズの糞塚はPH(土壌酸度)が土壌とは極端に異なることがあります。糞塚が大量にできると、表層のPHバランスが崩れて、病害や生理障害などが発生しやすくなることも懸念されます。管理人宅でも、ミミズの塚周辺の芝が赤くなるなどの症状を確認しています。

病害との関連については、ミミズの塚が密集している個所の方がラージパッチの症状が重くなりやすい傾向もありました。ミミズが直接芝生を害することはありませんが、糞塚によって様々な障害が起きる可能性があります。ですので、ミミズは芝生にとっては害虫であると認識しておいた方がいいでしょう。病原菌が付着したミミズがあちこち這い回ることを想像すると、芝生愛好家としては容認できません。

景観を損ねるミミズの塚

ミミズの塚が増え始めて景観を損ねている様子。大量に塚が発生すると、芝刈り機の刃にも悪影響があります。薄く確認できるラージパッチの境界部分に塚が多数あるのも興味深いところです。


ラージパッチとミミズの塚

ラージパッチの境界付近に密集して発生しているミミズの塚。大量にできることで、土壌表層のPHバランスが崩れたり、踏みつけた塚が土壌通気性を阻害するなどの悪影響が考えられます。あまり想像したくはないですが、ミミズに病原菌が付着したまま動き回ることもあるのかも?


ミミズの塚の周辺で変色する芝

ミミズの塚の周辺で赤く変色する芝。病害か生理障害かは分かりませんが、塚のPHが極端に異なることが影響しているのではないかと思います。


ミミズの駆除

ミミズの塚は、3月~梅雨時期と9月~11月頃に発生します。多発する前に駆除することがポイントになります。特に3~4月にかけては、小さなミミズがたくさんいますので、これらが成長する前に駆除しておくと効果が高いと感じます。

管理人はミミズの駆除に「椿油粕」を使用しています。椿油粕にはサポニンという天然の界面活性剤(天然の石鹸)が含まれています。椿油粕を1m2あたり50~100g(2~4握り程度)散布し、サポニンを染み出させるようにたっぷり散水すると、土壌に浸透したサポニンによって体表のぬめりが除去されるのを嫌がったミミズが地表に逃げ出してきます。ミミズは地表に出ると紫外線を浴びて死んでしまいます(もしくは鳥のエサとなる)。まれに地表に出てこないこともありますが、その場合はその後ミミズの塚ができるかどうかで判断してください。

サポニンを含む資材は、ミミズ以外の害虫もサポニンによる呼吸阻害や生理障害で忌避が期待できます。ただし、ミミズやナメクジなどヌメリを持つ生き物のような劇的な効果は望めないでしょう。あくまでもミミズやナメクジなどのついでに忌避できたらラッキーぐらいに考えておいた方がいいと思います。

※コガネムシの幼虫は相当生命力が強いようで、地表に逃げ出してきたら捕殺する方が確実です。死んでいるように見えても生きていて(仮死状態?)、放っておくと息を吹き返してしまうことがあります。

椿油粕

椿油粕にはペレットタイプと顆粒タイプがありますが、芝生の隙間に入りやすい顆粒タイプがお勧め。50~100g/m2を目安に散布します。一握りが20~30g程度ですので、平米あたり2~4握りほどになります。


椿油粕の散布後にたっぷり散水

資材からサポニンを染み出させるように、じっくりたっぷり散水します。事前に土壌を湿らせておくと資材の浸透性が高まります(雨の後も良い)。管理人は雨の直前に散布して散水を横着することもあります。雨天でもある程度は駆除できます。


サポニンを嫌がって出てきたミミズ

早い時には散水している最中にミミズが地表に出てきます。ミミズが深い所にいたり気温が低くて活動が鈍い場合は、30分以上時間がかかることもあります。地表に出てきたミミズは紫外線で大半が死滅しますが、より確実な方法は捕殺です。ミミズが出てくる間、しばらく目を離していている隙に鳥に食べられることもあります。

芝生に隣接する花壇や菜園などがある場合は、そちらも同時散布しておくとより効果的です(芝生から菜園に逃げたり、菜園にいるミミズが侵入してきたりする)。土壌に浸透したサポニンは数日で分解されます。サポニンは化粧品や食品にも使われる成分ですので安心して使えます。


椿油粕で対策をしたけどミミズが出てこなかった

椿油粕で対処したのだけど、思うような効果が無かったという問い合わせを時々いただきます。この場合いくつか原因が考えられます。

散水をしなかった

今までの問い合わせの中で一番原因が分かりやすかったのがこれです。椿油粕に含まれるサポニンという成分を土壌にしみこませないと作用しませんから、椿油粕散布後は必ず散水をする必要があります。

散水量が少なかった

表層を濡らす程度の散水ですと、サポニンが土壌にしっかりしみこまないことがあります。ミミズが潜んでいる深さまでサポニンが届かなければ効力を発揮しませんので、ミミズが出てくるまでたっぷり散水してあげることが重要です。

地表に出てくるまでに力尽きた

サポニンが効果を発揮したのだけど、ミミズが深い場所にいたため地表に出てくるまでに力尽きてしまったというケースも考えられます。この場合は、その後新たな塚ができるかどうかで判断してください。もし新たな塚ができるようなら再度椿油粕で処置をします。施用量を守っていれば、1週間後ぐらいに連続散布しても過剰障害は出ません。

鳥などに食べられた

これは私の自宅であった事例ですが、散水後しばらく目を離している隙に地表に出てきたミミズが鳥に食べられてしまったというケース。散水時にミミズが出てきていることは確認していたのですが、1時間後ぐらいに見るとミミズが全くいませんでした。逃げられたのかと思ったのですが、その後新しい糞塚ができなかったことから、おそらく鳥に食べられてしまったのだろうと判断しました。

塚の数の割りにミミズの数が少ない

塚がたくさんあったのにミミズの数が少ないのだけど。こういう問い合わせも時々いただきます。糞塚の数とミミズの数は必ずしも比例しませんので、ミミズの数が少なかったからといってがっかりしないでください。この場合も、その後新たな糞塚が発生するかどうか様子を見てください。

土の盛り上がりがミミズではなかった

問い合わせを詳細に伺うと、土の盛り上がりがミミズではなかったというケースもありました。この場合はミミズがいませんから、椿油粕で処置をしてもミミズが出てくることはないでしょう。ページ下部にミミズではない場合の土の盛り上がりを掲載していますのでご参照ください。ミミズの塚は粒状の団粒構造になっていること、穴は無いことが特徴です。




ミミズの糞塚に似ているもの

ミミズの糞塚

ミミズの糞塚は写真のように粒状(団粒構造)になっているのが特徴です。


ミミズの糞塚

これはコガネムシと思われる塚。掘り出された土が団粒構造になっていないことと、数ミリほどの穴が開いているのが特徴です。


ミミズの糞塚

これはアリ塚。掘り出された土が砂状の山となり、巣の出入り口となる穴もあります。キトサン溶液や木酢液を定期散布していると蟻の抑制効果があります(蟻の種類によっては効果が低い場合がある)。