芝生の殺菌剤について

病気の抑制や治癒に最も効くのが殺菌剤

芝生に病気を予防したり、発症した病気を治癒させるには、殺菌剤の散布が最も効果的です。

人間も普段は栄養管理に気をつけて病気を予防し、いざカゼなどの症状が出たら薬を飲みます。健康管理を怠っている人は薬の効果も低くなり病気も治りにくいでしょう。芝生も同様に、日常的には農薬以外の資材で健康管理をし、いざという時には殺菌剤を併用することで、薬の効果が高くなります。

対象となる病気に適用のある殺菌剤を選ぶ

殺菌剤によって効果がある病気とそうでない病気がありますから、芝生の症状に適した殺菌剤を選ぶことが重要です。特徴的な病気であれば病名を特定することは比較的簡単ですから、その病気に適用がある殺菌剤を使用してください。

症状だけでは病名の判断しにくい場合は、広範囲の病害に効く芝生専用殺菌剤を選択する方法もあります。主だった病害に広範囲に効くものであれば、当たる確率が高くなります。また適用病害が多いということは、春から秋にかけて様々な病害に対応できるというメリットもあります。

耐性菌の出現に注意する(正しい使い方とローテーション)

使い方を間違えると殺菌剤が効かない耐性菌が出現することがある

病気の原因は微生物(病原菌)です。微生物は生存しにくい条件になるとそれに適応しようとします。殺菌剤に対しても適応しようとすることがあり、散布方法が間違っていたり、同じ薬剤を連続して使用すると、薬剤に耐性を持った「耐性菌」が出現することがあります。

例えば、ホームセンターで売られているうどんこ病に効くはずの殺菌剤は、多くの人が使い続けたり誤った使い方をされることによって耐性菌が広範囲に存在していると言われています。芝生の病原菌にも同様の事例がありますので、そうならないような使い方を一人ひとりが気をつける必要があります。

用量・用法をしっかり守って正しく散布する

まず大切なのは、用法をしっかり守って正しく散布することが重要です。希釈倍率、散布する量、その他の注意事項はしっかり守ってください。一番避けなければならないのは、予防だからと言って少なめにしたり薄くしたりすることです。中途半端に薬剤がかかって死にきらなかった菌は耐性菌になるリスクが高くなります。

できれば同じ薬剤を連用せずローテーションする

次に気をつけるべき点は、同じ薬剤の連用を避けるということです。できれば2種類以上の殺菌剤を組み合わせて、交互に散布することが理想です。異なる殺菌剤を順番に散布することを「薬剤のローテーション」と言います。

異なる殺菌剤を使用することでローテーションをするのですが、製品を選ぶときに注意したいのが殺菌剤の成分です。

殺菌剤のメーカーが違うからといって必ずしもローテーションの組み合わせとして成立するとは限りません。製品名は異なるけど成分(殺菌作用のある有効成分)が同じというものもあります。製品のラベルやパンフレット、ホームページには必ず成分名が表記されていますので、それが同じでないかどうかをチェックしておきましょう。成分が同じですとローテーションしても意味がありません。

最初から主だった病害を対象としたローテーションのセットが販売されていることもありますから、そういったものを利用するのもいいでしょう。