芝焼きの時期や効果について
景勝地では春の名物となっている芝焼き。枯れた芝を燃やすことは芝生にとってどのようなメリットがあるのか、またいつ頃行うのが最適なのかなど、芝焼きについて解説します。ただ燃やすだけで終わるともったいないですよ。
芝焼きの効果
芝焼きによって得られる効果は次のようなものがあります。
冬枯れした芝の葉は、冬の間は霜や寒気、踏圧から根を保護してくれますが、春の立ち上がり時期には邪魔にしかなりません。また、そのままにしておくとやがて大量のサッチとなって堆積します。ですので、春の芽出しの前にできるだけ除去しておくことが理想です。芝焼きをすると枯葉が除去されるだけでなく、様々な副次的効果も得られるというメリットがあります。
芝焼きのデメリット
メリットだけ見れば良い事ずくめに見えますが、デメリットも少々あります。まず一つ目がこちらの写真でも分かると思いますが、枯れた芝を燃やすと煙がかなり出ます。住宅地ですと近隣への配慮が気になるところです。ご近所が洗濯物や布団を干していたり、窓を開けていたりすると、ちょっと芝焼きをするのは躊躇するところでしょう。
もう一つのデメリットがこちら。芝焼きをした後は靴に墨が付着しますから、あちらこちらに黒い足跡がついてしまうということ。また、墨で靴や服が汚れる可能性もあります。芝焼きをするかどうかについては、こういったデメリットも考慮したうえで判断してください。
芝焼きをする時期
時期はだいたい2月上旬から下旬(寒冷地ではもう少し後)に行います。あまり早すぎてもその後地面が寒気にさらされてしまいますし、遅くなると新芽が出始めて燃えにくくなります。枯れた芝生の葉が乾燥しているほどよく燃えますから、好天が続いた後の方がいいでしょう。湿っているとなかなか火がつかないことがあります。
また、火の粉もある程度舞いますから、風があまり強くない日に作業をしてください。火を使う作業ですので、細心の注意が必要です。
関連ページ:2月の芝生の手入れ
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岡山後楽園の芝焼きのやり方
造園業者の方が持っているのが、枯れた芝に着火するためのたいまつです。ガスバーナーのようなものでもいいのでしょうけど、景勝地のためかこういったところにも風情の演出があるようです。
火をつけたたいまつを枯れた芝にこするようにして端から火をつけていきます。芝生が湿っているとこのようにうまく火がつかないこともあるでしょう。
着火したら後は自然に燃え広がるのを待ちます。この日は前日に少しだけ雨が降ったようで、造園業者の方がうまく燃えるか心配していましたが、さほど雨の湿り気の影響は無かったようです。
全面に燃え広がったら芝焼き完了です。岡山後楽園では、この後竹箒で墨をすり込む作業をするとおっしゃっていました。
燃え広がる様子を動画でご覧ください。結構な速さで燃え広がるのが分かると思います。実際に芝焼きをする場合は逃げ場を失わないように事前に準備・計画しておきましょう。
管理人宅での芝焼き実践
一般的な芝焼きは岡山後楽園のように自然燃焼させるのですが、燃える量が多いほど煙や炭の発生量が多いだろうと判断し、それをなるべく削減するべく低刈りをした後にバーナーであぶるように芝焼きをしました。
まずは冬枯れした芝を低刈りし、根切り刃オプションを装着したリョービ芝刈り機でバーチカルカットします。
低刈りすると自然燃焼はできませんので、カセットガス式のバーナーを使ってあぶるように焼きました。自然燃焼の場合は意外と地際は焼けていないことが多いので、せっかくの燃焼がサッチ層まで届きません。バーナーなら地際まであぶることができますから、殺菌や害虫、卵の駆除効果がさらに高まると期待できます。
これが自然燃焼している芝生を近くで見たところ。表層しか燃えていないのが分かると思います。
バーナーで芝焼きした様子。もっと念入りにあぶればさらに黒こげにできますが、あまりやりすぎても地温が熱くなりすぎて根が傷む可能性がありますから、このぐらいでやめておきました。機会があればどのぐらいまでバーナーで焼くことができるのか試してみたいと思います。
芝焼きとエアレーションを同時に行うと、芝焼きの炭が穴に入り込むことで土壌改良の相乗効果が期待できます。先に穴を開けてしまうとバーナーの熱が根に伝わりやすいかもしれませんから、それが気になる場合は先に芝焼きをしてください。
芝焼きの注意事項
芝焼きは火を扱う作業ですので、延焼ややけどなどには十分注意して安全を確保するようにしてください。いつでも消火活動ができるように準備しておくことが必須です。火の粉が舞いすぎたり、急に風が出てきて危険が感じられたらすぐに消火しましょう。