日本芝(高麗系)の9月の手入れ
9月に入ると芝生の勢いがほんの少し衰えてきます。といっても、ほったらかしておいていいというレベルではありません。刈り込みや施肥、水やりなどをきちんとやっておく必要があります。手間をかければ、その分きれいな芝生を長く楽しむことができます。
また、今月からの手入れは来年春の立ち上がりに影響します。芝生の成長が衰え始めると興味を失いがちですが、実は来春のためにはとても大切な時期になります。しっかり肥料を与えて栄養を蓄えさせ、病虫害の被害が大きくならないように注意しましょう。
芝生の雑草
雑草は相変わらず生えますのでこまめに抜いてやりましょう。特にメヒシバは実をつける時期になりますので、種を落とす前に抜いてやる事が大切です。引き続き残暑で気温の高い日が続きますので、除草剤の薬害には注意してください。最高気温が30℃以上の日が続く場合は除草剤の散布は控えておきましょう。
関連ページ:芝生の雑草対策
芝生の水やり
温暖化傾向にある近年、9月でも猛暑が続くことがあります。8月と同じように1~2日に1回は水をやった方がいいでしょう。気温が下がり始めたら少し頻度を落としても大丈夫です。芝生の様子を見ながら調整してください。
秋の長雨が予想される場合は、病害リスクが低減できるように散水をコントロールしてください。
関連ページ:芝生の水やり・散水
芝生の芝刈り
7~8月よりは若干勢いが衰えるますが、それでもまだまだ旺盛に成長します。週1回程度のペースを維持しながら、伸びすぎないよう芝刈りを繰り返してください。
関連ページ:芝刈りについて
芝生の施肥
用量の範囲内で肥料を与えます。肥料には、毎月与えるもの、隔月で与えるもの、月に2~3回与えるものなど、さまざまなタイプがあります。説明書をよく読んで、用量を守ってください。粒状肥料を散布したときは、必ず水をたっぷりまいておきましょう。水やりをしないと芝生が肥料焼けをする可能性があります。踏まれたりして傷みやすい箇所は、肥料や水をしっかりやって生育を促してやってください。
関連ページ:芝生の肥料について
芝生の害虫
芝生のシーズン中は様々な害虫が発生するリスクがあります。常に何らかの害虫が存在しているという前提で、芝生の様子を観察しておきましょう。急に芝生の密度が低下する、部分的に枯れるなどの症状が出たら、接触毒のスミチオンで駆除しておきましょう。成長が衰え始める秋は害虫の被害が大きくなりやすいですから注意してください。
関連ページ:芝生の害虫対策について
関連ページ:芝生が枯れ始めたけど原因がよく分からない
芝生の病気
猛暑で好天が続いた場合は定番的病害のカーブラリア葉枯病は沈静化することがありますが、天候条件次第では激発することがあります(大量の夜露、曇りや雨の日が多い、無風)。8月に成長のピークに達した芝生は1年で最も密度が高まっていますから、地際の通気性は衰えて病害リスクが高くなっていることに注意が必要です。
カーブラリア葉枯病は無農薬での対処は難しい病気ですから、症状が現れた場合は早めに殺菌剤で対処しておくことをお勧めします。
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寒地型西洋芝の9月の手入れ
暑さのピークは過ぎますが、夏のストレスによる芝の傷みのピークは9月上旬頃になります(暖地の場合)。残暑が厳しい場合は傷みのピークが多少長くなることもあるでしょう。寒地型西洋芝にとって最も厳しい季節は過ぎますので、回復に向けて成長を促してください。
芝刈り
最低気温が順調に下がると徐々に成長が早くなり始めます。成長具合を見ながら芝刈りのペースを調整してください。
水やり
9月はまだ気温が高い日が多く、夏のストレスから完全に解放されているわけではありませんから水切れには注意が必要です。修復を促す意味でも毎日の散水を基本とし、降雨次第で調整してください。
肥料
秋の修復に向けて積極的に施肥をスタートしてもいいでしょう。粒状肥料(固形肥料)の説明書に従って散布してください。残暑が厳しい場合は、少し後ろへ時期をずらして調整してください。
夏に短くなってしまった根を再生するには、有機酸を含む発根促進資材を併用することも有効です。
傷んだ芝生の修復にはスーパーグリーンフードのような土壌改良剤を散布すると、回復が早まることがあります。管理人宅では踏圧からの回復などに使用しています。
病気
9月はまだ旺盛に成長する時期ではありませんから、病気が発生すると被害が目立ちやすいでしょう。病害の兆候が現れる前に殺菌剤で予防しておきましょう。
■発生の可能性がある病害
いもち病、さび病、ダラースポット病、立ち枯れ病、ドライスポット(*)、ピシウム病、フェアリーリング病、ブラウンパッチ(葉腐病)、ヘルミントスポリウム葉枯病、炭疽病、細菌病、赤焼病
*ドライスポットは砂をメインにした床土で発生しやすい症状です。
害虫
11月ごろまでは常に何らかの害虫が存在している可能性があることを前提に対処してください。発生数が多い場合は被害が大きくなりやすく、芝生の再生も阻害されますので、早めに対処しておきましょう。部分的に枯れる、密度が低下する、地上部分がポロポロ取れるなど、害虫の食害と思われる症状が発生したらスミチオンやダイアジノンなどを散布して駆除しておきましょう。予防的な薬剤散布をする場合は食毒性のオルトランなどを使用します。食毒性の殺虫剤は、薬剤が芝生に浸透することによってそれを食べた害虫が殺虫されます。食毒性の殺虫剤は薬が触れて殺虫するものではありませんので、薬剤の特徴を理解して使用してください。
夏越し対策
残暑が厳しい場合は真夏と同様の散水や施肥でしのぎます。日照時間や角度の変化から芝生も季節の移り変わりを感じ取りますから、次第に元気になってくると思います。芝生に少し勢いが見られるようになってきたら積極的に肥料を与えて再生を促してください。
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