芝生の苔や藻が好む環境と対策
苔や藻が嫌う環境にすることが大事
芝生に発生する苔や藻を対策するには、それらが好む環境をできるだけ取り除くことが重要です。殺菌剤でも対処は可能ですが、発生しやすい環境をそのままにしておきますと、いずれは再発します。苔や藻に悩まされない環境作りについて解説します。
苔や藻はどのような環境を好むのか
公園などの放置気味の芝に苔や藻類が発生していることがよくあります。これは、芝の状態が苔や藻類に適した状態になっていることを示しています。
苔や藻類は適度な日当たりと豊富な水分を好みます。また、土壌の栄養があまり多くない環境も好みます。放置気味の芝生は、肥料はほとんど与えられず、刈り込みもされません。また、エアレーションなどの土壌改良も行いませんから水はけが割るいくなっていることも多々あります。
このように苔や藻類が好む環境になっていることがよくあります。
苔や藻類が発生したらどうする?
まず、苔や藻を取り除けるようでしたら、できるだけ除去しておいてください。軽度な発生で農薬を使う必要が無さそうであれば、後述の「苔や藻類を嫌う環境にする」を参照していただいて、それらの作業を実践してください。
大量に発生して手がつけられないような状況だったり、環境改善だけでは再発が防げない場合は農薬が一番即効性が期待できます。芝生の苔や藻類を駆除する農薬にはキレダーがあります。これを説明書通りに散布してください。
芝生を苔や藻類が嫌う環境にする
芝生に苔や藻が発生しないようにするには、これらが好む環境を取り除くことが大切です。環境を改善しないと、農薬で駆除したとしても、やがては再発してしまいます。
■芝生の密度を上げる
芝生の密度を上げることによって地際に日が当たらなくなり、適度な環境を好む苔や藻類にとっては好ましくない環境になります。芝生の密度を上げるには、適切な施肥によって旺盛な成長を促し、こまめな刈り込みが必須となります。これは芝生をきれいに仕上げる秘訣でもありますので、きれいな芝生と苔や藻対策が両立できます。
■苔や藻類にとって多肥の状態にする
苔や藻類は多肥を嫌います。芝生の密度を上げるために肥料をしっかり与えますと、自然と苔や藻類の嫌う環境になります。芝生用の粒状肥料であれば、その解説書の通りに施肥をすることによって、苔や藻類にとっては厳しい環境になるでしょう。
■エアレーションで土壌通気性と水はけを改善する
定期的にエアレーション(スパイクなど)を行うと、土壌の通気性や水はけが改善され、豊富な水分を好む苔や藻類には適さない環境になります。
■サッチングやサッチ分解剤でサッチを減らす
サッチが堆積した状態は、土壌の通気性を悪化させて水分が保持されやすくなります。また、サッチ自体も大量の雨や散水をすると水分を保持してしまうため、苔や藻への水分供給源になることがあります。春先の更新作業で冬枯れした芝を出来るだけ取り除き、シーズン中の定期的なサッチングおよびサッチ分解剤によってサッチの堆積をできるだけ減らすようにしてください。
■苔や藻は酸性や有機酸を嫌う
苔や藻は酸性資材や有機酸の入った資材を環境を嫌う性質があります(種類によっては耐性があるものもあるかもしれません)。有機酸が入っている資材には、キトサン溶液スーパーグリーン、アルムグリーン、有機酸酵素EX、などがあります。キトサン溶液スーパーグリーンや有機酸酵素EXは希釈液が酸性を示す資材ですので、酸性を嫌う苔や藻類には効果があると考えられます。これらの資材を上記の環境改善策と併用することによって相乗効果が期待できます。また、これらの資材は発根向上や土壌改良、キノコ対策としても有効ですので、散布すれば一石二鳥にも三鳥にもなります。
現在、管理人宅ではキトサン溶液スーパーグリーンを300倍で週1回ペースの散布をしており、苔や藻類が発生しないのはもちろん、キノコもほぼ抑制、病気リスクの低減、発根や光合成の促進で元気な芝生に成長するなど、様々な効果が得られています。
何をやっても苔や藻類が解決できない場合
どんなに手を加えても苔や藻類が解決できない場合、その場所が芝生の生育に適していないこともチェックする必要があるでしょう。芝生に適した環境については、芝生に適した環境をご参照ください。
もし部分的に芝生の生育に適していない環境になっている場合は、該当箇所を枕木やレンガを敷き詰めたりシェードガーデンにするなど、芝生以外のものを検討するのも解決策の一つです。