芝生のエアレーションとは
芝生の活性を上げるための重要な作業
芝生のエアレーションとは、ローンスパイクやローンパンチ、ガーデンスパイクなどの専用の道具を使って地面に穴を開ける作業のことです。そんなことして根が傷まないの?と不安に思うかもしれませんが、芝生の活性を上げるためにはとても重要な更新作業の一つなのです。エアレーションは肥料のようにすぐに効果がはっきりと分かるものではありませんが、単純に穴を開けるだけようでいて芝生にとっては実に多くのメリットがあり、長期的に見れば有意義な作業と言えます。サッチングと並んで労力が必要な作業ですが、定期的に行っておくことをお勧めします。
芝生は土を耕すことができない
芝張り後は耕せない
芝生は一度植えてしまうと畑のように耕すことができません。畑の耕起作業は土をほぐして空気を送り、土壌微生物を活性化させたり、団粒構造にして通気性や保水性のバランスを取るために行います。芝生はそれができませんから、植えた後は土が締まっていく一方です。特に人が立ち入る芝生では土が踏み固められてしまいます。通気性の衰えた土壌は嫌気状態となり、悪い菌が繁殖しやすくなります。また、根の呼吸も阻害されて芝生が弱ってしまう原因になります。
それを少しでも解消するための作業がエアレーションです。ローンスパイクやローンパンチで穴を開けることによって、穴から土壌に新鮮な空気が送られ、好気状態となって根や微生物の呼吸を助けます。エアレーションは、耕すことができない芝生の土壌の通気性を向上する、貴重な作業と言えます。
芝生にエアレーションをする時期と頻度・回数
エアレーションはシーズン中に適宜行う
エアレーションは、芝生のシーズン中に行います。理想の頻度は1~2ヶ月に1回程度ですが、時間と労力を使う作業ですから思うようにできないこともあるでしょう。回数を減らすのであれば、春の更新作業で1回だけやる、春と秋の2回やる、このような感じでエアレーションしてください。最低でも年1回はやっておきたい作業です。休眠中は作業する必要はありません。
エアレーションで得られる効果
土壌に酸素を供給する
穴を開けることで土壌に酸素を供給することで、根の呼吸が促されて芝生が活性化します。土壌に酸素が供給されることで微生物の活動が活発になりサッチや古い根の分解を促進したり、多様な微生物環境が整うことで病原菌だけが繁殖しにくくなります(微生物はお互いに拮抗作用があります)。土壌が嫌気状態(酸素が少ない状態)になると、悪い菌が発生しやすくなりますから、土壌通気性を適度に保っておきましょう。
水はけ改善
エアレーションをすることで土がほぐれますので、水はけの改善にもつながります。人がよく歩くところは、土が締まって水はけが悪くなったり、根の発育に障害が出ますので、エアレーションの頻度を上げるといいでしょう。エアレーションと同時に土壌改良剤を散布しておくと、穴がふさがる時に土壌が団粒化しやすくなります。
根切りによって根の新陳代謝を促進する
古い根を切ってやることで新しい根の発育を促し、新陳代謝とともに芝生が元気になります。エアレーションは根切りも同時に行うことになりますから、根の新陳代謝促進の効果が期待できます。根きりの効果を高める場合はスライシング(バーチカルカット)をおすすめします。
病気やトラブル予防
エアレーションによって通気性が改善されますと、微生物の活性化によってサッチ分解が進んだり病原菌が抑制されます。また新しい根が出ることで芝生が元気になると病害耐性も高まります。元気になった芝生は、体内に害虫が好む物質(遊離アミノ酸や糖)も滞留しにくくなりますから害虫被害の抑制にもなります。じめじめした環境を好む藻や苔の発生も抑制する方向になり、様々なトラブルの予防効果が期待できます。
エアレーションの種類
エアレーションには大きく分けて「スパイキング」と「コアエアレーション(コアレーション)」の2通りのやり方があります。
スパイキング
スパイキングは、「ローンスパイク(中空ではない平らな刃)」を使用して芝生に穴を開けていく方法です。ローンスパイクを突き刺していくだけですので、手軽にできるのがメリットです。私はこちらの方法でやっています。ゴルフ場並みの芝生を維持したいなどの高度な管理をしないのであれば、スパイキングで十分でしょう。芝生の成長具合が良いようなら年に1回でもいいのですが、水はけが良くない場合や芝生に元気がない場合は3月頃から1~3か月に1回ぐらいのペースでやってみてください。
コアエアレーション
コアエアレーションは、中空の刃がついたローンパンチなどを使い、根や土ごと取り除く方法です。芝生に円筒状の穴を開けますので、エアレーション後の目土入れが必須です。掘り起こした土を集めたりする手間はかかりますが、効果は非常に高いと言えるでしょう。反面、芝生へのダメージが大きい方法でもありますので、生育が旺盛な時期が適しています。芝生を植える前に土壌をしっかり改善していない場合は、ローンパンチが刺さりにくかったり、石などで刃を破損する可能性があります。
ガーデンスパイク(足に装着するタイプのスパイク)
最近手軽さで人気のガーデンスパイクもエアレーションツールの一つです。釘のようなスパイクが十数本あり、芝生を歩き回るだけで細い穴をたくさん開けることができます。ただし、この方法は土壌通気性の向上には大きな効果がありますが、根切りによる新陳代謝はあまり期待できません。ローンスパイクやローンパンチと組み合わせて併用すると相乗効果が期待できます。
エアレーションのやり方
ローンスパイクでのエアレーション事例
スパイキングを例にとって、エアレーションのやり方を解説します。
ローンスパイクを足で踏みこんで刺します。この時ハンドルを前後に動かしてやると穴開けや根切りの効果が高くなります。
前後左右均等に穴を開けていくのが基本ですが、より効果を高めたい場合は間隔をつめてください。時間や労力を軽減する場合は間隔を広めに作業します。絶対にこうしなければならないというルールはありませんから、効果や時間、労力などのバランスによて判断してください。
■管理人がエアレーションをする様子
エアレーションの注意事項
植木周辺のエアレーションは要注意
芝生の中やすぐ脇に植木がある場合は注意が必要です。植木は枝の先の真下あたりまで根を張っていることが多く、その部分をスパイクで刺すと植木の根を傷めてしまうことがあります。幹に近いところほど根の傷みによるダメージが大きくなりますので、植木周辺はスパイクしないことをお勧めします。
エアレーション後は芝生が枯れたように見えることがある
エアレーションをすると穴の周辺の葉が枯れることがあります。そのため、全体的に枯れてきたように見えることがありますが全く心配は要りません。
成長が旺盛な時期であれば2~3週間で元通りとなり、根切りによって新たな根が出てきますから密度が高くなって美しい芝へと変貌します。
ただし、芝生のシーズン中は常に害虫がいたり病害リスクがありますので、そういった症状との見極めは必要です。しっかり観察して芝生から発せられるサインを見逃さないようにしてください。
スパイクは磨耗によって短くなる
エアレーションを継続的に行なっていると、ローンスパイクなどの刃が磨耗によって短くなります。刃が短くなると穴が浅くなってしまい、せっかく作業しても効果が減少してしまいます。
購入時の長さを確認しておき、2年ぐらい経過したら磨耗して短くなっていないか確認しましょう。エアレーションを頻繁に行なっている場合は磨耗のペースも速くなります。
エアレーションは肥料のようにすぐに効果が現れるものではなく、じわじわと時間がたつにつれて効き目が現れます。地味な作業ですので後回しになりがちですが、長期的な視点で芝生の健康を考えるのであればとても重要な作業です。
芝生初心者です。
アドバイス頂きたく。
昨年12月に芝生をはりました。
段々と成長し緑が増えてきていますが、一年目でもエアレーションは必要でしょうか?
返信が遅くなりましてすみません。
特に生育に問題が無いようでしたらエアレーションしなくても大丈夫です。
しておけば土が締まるなどの症状が緩和されます。
このあたりは決まった答えがありませんので、したいと思えばする、しなくていいと判断すればやらない、という感じでいいと思います。
こんにちは。いつも使わせて頂いております。リョービの電動芝刈り機で根切りも買いました。芝パンチをするには根切り前後どちらでしょうか?また根切りするなら芝パンチは必要でしょうか?よろしくお願い致します。
こんにちは。
いつもご覧いただきましてありがとうございます。
パンチ(コア抜き)と根切り刃の順番には特に制約はありませんので、お好みの順番でいいと思います。
根切り刃 → 表層のランナーの根切りやサッチング、グルーミング(密度低下)
芝パンチ → エアレーション、根切り、土の入れ替え(新しい土に更新)
このような違いがありますので、両方の役割が必要だと判断されれば両方やる必要がありますし、例えば土の入れ替えを目的とするのであれば芝パンチ+目土入れでいいでしょう。
芝生の生育期であれば同時に行っても問題はありませんので、目的に応じて作業を組み立てていただければと思います。
サイトを見て質問させていただきます。
芝の成長が悪いというより、雑草に負けてしまってる感じです。そのような状態ではエアレーションの効果は望めないでしょうか?
また、スパイクで根切りしながら穴を開けるより、直径20mm程度の穴をしっかりあけた方がより効果は高いでしょうか?その場合、開けた穴に目土をすぐに入れるんでしょうか?1〜2日おいてから目土を入れるんでしょうか?
また、目土は土壌と同じ真砂では良くないでしょうか?
エアレーションは雑草対策にはなりませんので、除草剤による防除か手作業による抜き取り、またはその両方で対処してください。
コアリングの一番の特徴は穴に新たな土を入れることで土壌を改良するという点があります。土は基本的に劣化する一方になりますから、新たな土を入れてやることで土壌の代謝が可能になります。その分土壌改良効果は高いと言えるでしょう。コアリングをした場合、その穴に日照が入ると根を傷める可能性がありますから、すぐに埋めていただく方がいいでしょう。
真砂土だけでもいいですが、保肥力や保水力を考えると土壌改良材(ゼオライト、バーミキュライト、ピートモス、パーライトなど)を5%程度混和する方がいいでしょう。
エアーションで水道の管などが破裂するなどはありますか?
2、30cmぐらい埋められてます
ローンスパイクの刃が届かない深さであればその心配は無いと思います。
もしご心配であれば水道管が通っている付近を避けてエアレーションしてください。
いつも参考にさせていただいております。エアレーションについて質問です。先日、ローンスパイクで初めて作業をしました。刺さりにくく、かなりの労力と時間を必要としました。刺さりにくい原因は床土が山砂で土盛してるから、あるいは踏み固まったせいでしょうか。刺す深さなどアドバイスいただければ幸いです。因みに芝生は60平米です。
いつも拙サイトをご覧いただきましてありがとうございます。
エアレーションは何センチ刺さなければならないという決まりはありませんので無理せず刺さる範囲で繰り返してください。
エアレーションと同時にスーパーグリーンフードなどの土壌改良材を併用しますとローンスパイクなどを刺した穴に資材が入り土壌改良の相乗効果が期待できます。
土を柔らかくするのは短期間では無理ですので、数年がかりになる前提でエアレーションや土壌改良材の投入を繰り返してください。
いつも参考にしております。
エアレーションについて質問です。
姫高麗芝を植え、ようやく1年を迎えます。
水切れで枯らした箇所はスーパーグリーンフードでようやく緑になってきました。
ただ、まだ生え揃わない箇所の目土が硬くなり根付きが遅い気がします。
エアレーションが必要かと思っていますが、
植えて期間が浅いと芝生に負担がかかるとの声もあり躊躇しています。
アドバイスいただけますでしょうか?
スーパーグリーンフードをご愛用いただきましてありがとうございます。
植えてから1年が経過しているとのことですので、
十分根の成長が促されていると思います。
刺したスパイクにくっついて芝生がはがれるようなことがなければ
エアレーションを定期的に行っても大丈夫です。
芝生の手入れの仕方を調べていてたどりつきました。
非常に参考になる情報ありがとうございます。
少しお聞きしたいのですが、コアエアレーションを行った時にでる古い土壌はどのように処分されていますか?
自治体にもよるかも知れませんが、燃えないゴミで出しても大丈夫なんでしょうか?
サイトをご覧いただきましてありがとうございます。
申し訳ございませんがゴミの処理方法につきましては地元の自治体にお問い合わせください。
おそらく各自治体で対応が異なると思われます。
私の自宅の状況ですが、エアレーションではコア抜きをしませんのでコアとして抜けるゴミが発生しておりません。
ローンスパイクやガーデンスパイクを使った単純な穴あけ作業だけを行っています。
いつも参考にさせて頂いてます。
質問ですが、エアレーションでローンスパイクでのスパイキングの場合、目土・目砂は必ず必要ですか?
それとも目土・目砂は必須ではなく、散水のみでも大丈夫でしょうか?
拙サイトをご覧いただきましてありがとうございます。
ローンスパイクの場合は必ずしも目土入れは必要ありませんので、管理人宅ではロースパイク後の目土入れはしていません。
コアリング(中空刃で丸い穴を開けるタイプ)は穴埋めのための目土入れが必要です。
初めて 高価な 芝生肥料を 購入しました。 まいたから 芝生の成長が 楽しみです。(^_^)
ありがとうございます。
バランスよく栄養を与えたら芝生もきっと応えてくれると思います。