アレロパシーによって植木周辺の芝生が生えない

アレロパシー

植物が持つ三つの防御作用

植物が持つ防御作用のこと。多感作用とも言います。植物体内で、防御作用を持つ天然化学物質(多感物質)を合成もしくは分泌することで、他の植物の生育を阻害したり、害虫や病原菌を寄せ付けないなどの防御作用があります。

アレロパシーには、ある植物が他の植物の生長を阻害する作用(アレロケミカル)、植物に寄生しようとする病原菌を殺菌する作用(フィトンチッド)、虫を寄せ付けない作用(コンパニオンプランツ)があります。

樹木の周辺では芝生が生育しにくかったりするのは、樹木のアレロパシーによって芝生の生育が阻害されているという見方もあります。また、アレロパシーが比較的強く、雑草が生えにくい芝生としてセンチピートグラスがあり、法面や畦などの雑草繁殖を防ぐ目的で使われることもあります。

全ての芝生においてアレロパシーが強く作用するわけではありませんから、一般的な芝生では放置しておくと雑草に占領されてしまいます。法面などに高麗芝や野芝などを植えて放置すると、数年で雑草の方が多くなります。

家庭菜園などでは作物と一緒に植えることによって病気や害虫被害を低減するコンパニオンプランツも活用されています(ローズマリー、マリーゴールド、カモミールなど)。家庭菜園でレタス系の野菜を育てたことがある方はご存知だと思いますが、レタスも害虫がほとんどつかない植物で、アレロパシーの作用が強いと言えます。


ヤマボウシ周辺の芝生が生長していない様子。刈り取っているわけではないのに株元の周辺は芝生が生えません。これはまだ軽微な事例ですが、ゴルフ場などではもっと広い範囲で樹木周辺の芝生の生育が阻害されている事例もあります。