芝生の根止めやはみ出し防止の方法
栄養繁殖でいくらでも広がってゆく芝生
庭に芝生を植えた後、花壇や通路などはみ出してほしくないところまで芝生が侵入することがよくあります。これは芝生がほふく茎によってどんどん広がっていく性質によるものです。種を介さずに茎などの体を使って増殖していくことを栄養繁殖(えいようはんしょく)と言います。
薄くなったり傷んだ芝生が自然回復するのも栄養繁殖のおかげですが、都合よい場所だけで繁殖するわけではありませんから、生育条件を満たす場所にはどんどん広がっていきます。
これは高麗芝がほふく茎(ランナー)を伸ばして増殖しようとしている様子です。増殖するエリアが芝生化する予定なら放置しても構わないのですが、そうでない場合は早めに広がらないよう根止めしておくことをお勧めします。
こちらは寒地型西洋芝のケンタッキーブルーグラスが増殖しようとしている様子です。寒地型西洋芝は最初に種で施工することが多いですから種子繁殖のイメージがあるかもしれませんが、多くの品種が栄養繁殖可能です。
そのため管理人宅では夏枯れなどの傷みからの回復の際、種を追いまきせずに自然修復させています。これはすなわち余分なところへもはみ出してしまうことを意味しています。
これらはバミューダグラス(ティフトン系)の繁殖実験をした際の様子です。ティフトン芝は、傷みやすいスポーツグラウンドに使われるぐらい繁殖力が旺盛ですから、こういった芝はかなりの勢いではみ出していくことが想定されます。
定期的なエッジカットによるはみ出し防止
イングリッシュガーデン風の庭のように、芝生と花壇などの境界に何も根止め材を使用しない場合は、定期的なエッジカットによって芝生のはみ出しを防止します。
写真のように境界部分に段差をつけておくと芝生がランナーを伸ばしにくくなりますので、はみ出しのペースをある程度抑えることができます。段差が無いと芝生は旺盛にランナーを伸ばして広がろうとするでしょう。
根止め材を使用していない花壇などのエリアに芝生は容赦なく侵入していきます。
芝生がランナーを伸ばして花壇に侵入している様子。
芝生用のカッターやハサミなどを使用して定期的にエッジカットしてやることで、芝生の侵入を防いいでエッジをきれいに保てます。花壇中に芝生が侵入してしまうと、一旦全てを枯らしてしまわないといけなくなりますので、こまめにカットしておきましょう。余計なところに生えてくる芝生は意外とやっかいです。
レンガやブロック、枕木などで根止めする
レンガやブロック、枕木などを並べることで境界を作り、芝生の根止めとするのも一つの方法です。ただし、レンガや枕木などを並べただけでは、写真のように隙間から芝生がランナーを伸ばして侵入しますから、この方法でやる場合はしっかり隙間をふさぐ処置が必要です。
レンガなどを並べて根止めとする場合は、シート状の資材を併用したり、モルタルで間をふさぐなど、隙間から芝生が侵入しないようにする工夫が必要。
木製の資材を使用する場合は朽ちることを前提に考えておきましょう。芝生のサッチが分解されるのと同様に、木材も土壌微生物によってゆっくり分解されます。
朽ち始めたら交換しておくことをお勧めします。
根止め材を使って芝生のはみ出しを防止する
より強固に芝生のはみ出しを防止したい場合は、根止め材を使用する方法がお勧めです。芝生の根止め材には様々なものがありますので、好みのものを選んで施工してください。
管理人宅では畔シートを応用して根止め材として施工したことがありますが、薄いシートでしたから強度が不足し、芝生に押し倒されるようにして乗り越えられてしまったことがあります。芝生用の根止め材であれば強度不足で困ることは無いでしょう。
これが当時使用した田んぼの畔を保護するためのシートです。引張強度は必要十分でしたが、シートが比較的薄いためよじれには弱く、芝生の成長を押しとどめることができませんでした。
根止めの施工をしたのはこちらの花壇のエリアでした。
芝生がランナーを伸ばして花壇に侵入している様子。これを防ぐためにシートで根止めをします。
まずは侵入した芝生をエッジカットによって取り除きます。
際の部分にシートを設置して根止めします。
シート間は重ね合わせ、芝生が侵入する隙間を作らないようにしておきます。
芝生専用の根止め材なら、ジョイントできるようになっていたり、専用のジョイントパーツが用意されています。
全体を囲み終えたら根止めの完成です。
花壇だけではなくマルチングしてあるエリアにも芝生は侵入します。
木材チップのマルチングの隙間から芝生がのぞいています。
このエリアも同様に根止めをしました。
除草剤を使用して根止めする
少々裏技的な方法ですが、非選択性の除草剤(芝生も枯らすタイプ)を散布して芝生が広がらないようにする方法もあります。写真ははみ出した芝生を枯らしながらその後のはみ出しを防止するために、顆粒状の除草剤を散布している様子です。
使用する除草剤は、芝生も枯らすタイプで半年ほど土壌処理効果(雑草や芝が生えてこない)があるものを使用してください。
芝生を枯らしたくない部分には絶対に除草剤がかからないように注意してください。
このような隙間の根止めに使用する場合は、液体タイプの除草剤の方が施工しやすいでしょう。
除草剤で芝生の根止めする際には、除草剤をまこうとしている場所に他の植物の根が伸びていないかどうかを必ず確認してからにしましょう。半年生えないタイプの除草剤は薬剤が根から吸収されますから、散布した場所に他の植物の根が到達していると枯れてしまう恐れがあります。特に樹木は根を大きくはることがありますから要注意です。