オーバーシーディングで冬も緑の芝生に

暖地型の芝に冬芝をオーバーシードする

冬枯れする暖地型の芝生に、寒さに強く暑さに弱い冬芝を植えてやるオーバーシードも常緑の芝にする方法の一つです。競技場などのスポーツターフでこの方法が使われることがあります。

夏芝から冬芝への切り替え(秋のトランジション)

冬芝の種をまく前に夏芝を刈り取る

夏芝から冬芝への切り替え作業は、9月下旬から10月にかけて行います。使用する冬芝の適温とその年の気候を見ながら時期を決めてください。夏芝と冬芝を切り替えることをトランジションと言いますが、秋のトランジションはさほど苦労することはないでしょう。

夏芝をできるだけ低く刈り取って除去し、冬芝の種をまいて薄く目土をかぶせます。播種の際にはドロップシーダーなどの道具があると散布ムラが少なくなります。


引っ張っても抜けなければ芝刈りOK
引っ張っても抜けなければ芝刈りOK

播種後は発芽まで水切れしないように散水してください。播種から1週間程度で発芽し、成長するにつれて一面グリーンになります。5~6センチぐらいに成長し引っ張っても抜けないぐらい根付いたら芝刈りをして刈り揃えてください。最初は40ミリぐらいの高めからスタートし、成長とともに徐々に下げていきましょう。


春のトランジションはやや難しい

春がやってくると冬芝から夏芝への切り替え(トランジション)をする必要があります。冬芝が夏に弱いといえども6月ぐらいまでは旺盛に成長しますから、そのままにしておくと夏芝が成長できる余地がなくなってしまいます。

春のトランジションは、冬芝を弱らせてできるだけ早く枯らしてしまわなければなりません。そのために、本来やってはいけないことをわざとやります。軸刈りをするために長く伸ばして一気に刈り取ったり、軸刈りを繰り返したりします。

日本芝専用除草剤

ところが、春のトランジションは手こずることが珍しくありません。その理由は、夏芝に切り替えたい時期でも冬芝の成長が旺盛なことにあります。わざとやってはいけないことをしても、成長が旺盛なためなかなか弱らないことがあります。そういう場合は冬芝を雑草に見立てて、日本芝専用の除草剤で枯らしてしまうことも検討した方がいいでしょう。


オーバーシーディングに適している冬芝

オーバーシーディングに使う冬芝は、秋から冬期にかけては成長旺盛で、春以降はできるだけ早く弱ってくれる品種が適しています。オーバーシーディングの冬芝としてはペレニアルライグラスが使われることが多く、改良品種も増えています。

ベースとなる夏芝は春の立ち上がりが早く成長が旺盛な品種がお勧め

オーバーシーディングは春の切り替えがポイントになるため、ベースになる夏芝は春の立ち上がりが早く旺盛に成長してくれる品種が望ましいです。ティフトン系の芝がベース芝としてよく使われますが、最近では高麗系でも春の立ち上がりが早い改良品種もあります。オーバーシーディングを目指す場合は、ベース芝の選択から考えておいた方がいいでしょう。