芝生の病気と土壌pHの関係

土壌のpHは病気にも影響する

pH6.5を超えると病気の発生リスクが高くなる

姫高麗芝に発生したラージパッチ

芝生の病気の発生リスクは、日照不足や水分、栄養バランスなど様々な要因が関係していますが、土壌のpHもかなり関係があることが分かってきました。pHは土壌の酸度を表す数値で、7.0が中性、それ以下だと酸性、それ以上はアルカリ性となります。

過去の芝生管理の実績では、pHが6.5(弱酸性)を超えると病気のリスクが高くなり、それ以下にしておくと病気のリスクが低くなる傾向にありました。

特にラージパッチでその傾向が顕著で、毎年のように発生していたものがpH6.5以下にしておくとほとんど出なくなりました。ただし、芝生の健全性を高めたり、土壌環境を改善する資材を併用してのことですので、pH調整だけで抑制できるかどうかは不明です。感覚的にですが、こういった資材を使っていなかったとしてもかなりリスクは低減できるのではないかと思います。


pHは栄養吸収にも影響する

芝生が必要とする栄養は、主要三要素のチッソ・リン酸・カリだけでなく、カルシウム、苦土、イオウ、その他の微量要素など様々なものがあります。これらの栄養素はphによって吸収されやすかったりされにくかったりします。

最もバランスよく吸収されるのが6.5付近ですから、6~6.5ぐらいにしておくことで、病害リスクを低減しながら栄養の吸収バランスも改善されるということになります。栄養がバランスよく吸収されることは芝生の健全性を保つことにもなるため、栄養面での病害リスクも低減されることでしょう。


最も気をつけたいのは土壌のアルカリ化

芝生の手入れで最も気をつけたいのは土壌のアルカリ化です。pHが7.0を超えてくると、過去の経験則ではかなり病害発生リスクが高くなります。

以前、農作物の無農薬管理で使われる手法である 『石灰防除(石灰資材による殺菌作用で病原菌を抑制する方法)』 を試したことがありましたが、その際に散布した有機石灰や消石灰が土壌のpHを上げてアルカリ化してしまい、芝生にとってはあまり良い方法ではないことが判明しました。

もちろん、土壌がかなり酸性に偏っているものを矯正するのは問題ないと思います。すでにpHが6.5付近(弱酸性)になっている場合は、石灰防除を取り入れると土壌がアルカリ化してしまい、かえって病害リスクを高めてしまうようです。

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