高温による除草剤の薬害の症状とネキリムシ注意報

2024年06月30日(日)

芝生に除草剤の薬害が発生、その症状と対策

2週間ほど前に除草剤を散布し、天候からして薬害リスクが高いことをレポートしていましたが、結果としてやはり薬害が発生しました。予報では散布後に2日真夏日(30℃超)が続くとなっていたのですが、その2日間でもすでに薬害の症状が現れ始めていたところに、3日目も真夏日となってトドメを刺された感じになりました。

写真からも全体的に発色が悪くなっているのが確認できると思います。撮影した日が曇り空でそもそも発色が良くないという条件を差し引いても明らかに色が悪いですね。


全体の色が悪く見える原因は、葉色の悪化だけでなく、枯れ葉が増えていることも影響しています。典型的な薬害と言っていいでしょう。

薬害発生の原因は、一番は高温障害でしょう。除草剤の注意書きにも書いてあるのですが、30℃超の真夏日が続くような時は散布しないことと書いてあります。ただ、どの程度真夏日が連続すると薬害が出るのかについてはやってみないと分かりません。今回の経験からすると2日連続するとかなりリスクが高くなると考えていいかもしれません。

もう一つ原因として考えられるのは、希釈が濃かったことです。平米あたりの薬剤の量と水量に幅がある除草剤でしたが、散布をできるだけ早く終わらせることを優先して、一番少ない水量に対して一番多い薬剤の量で散布しましたから、施用法の範囲で最も濃い希釈となり、それも薬害リスクを高める要因になっていたのではないかと考えられます。。

皮肉なことに薬害が出た後には雨や曇りで30℃以下になる日が増え、散布のタイミング次第では薬害が出ずに済んでいたかもしれません。まあ天候のことについては思い通りにならないので結果論でしかありませんけど。

こういう失敗から学べることもありますので、また今後の除草剤散布に生かしていければいいかと思います。

失敗したり思い通りの結果にならなかったときに「この資材は役に立たない」と判断するより、「どうしてそうなったのか」「自分の期待とは違った結果になったのはなぜなのか」をじっくり理論的に考えることで資材や手入れの理解が深まることもあります。


薬害からの回復についてはやっぱりこれ、困った時のスーパーグリーンフード。日頃の施肥や土壌改良だけでなく、各種障害などからの回復など我が家には欠かせない資材となっています。ある意味ドラえもんみたいな存在です(笑)


普段は散布してたっぷり散水なのですが、今回は雨の直前に散布して後は雨任せにしました。こういう時に雨雲レーダーがすごく役立ちます。何時ごろから雨が降るかを確認して散布できます。あの仕組みを構築、維持してくれる方々には本当に感謝しかありません。


梅雨時期の病気と言えば葉枯病ですが、今のところ初期のパッチが3つほど出ています。梅雨時期で症状が一番悪化するのは梅雨末期になりますから、まだまだこれからですね。


1か月ほど前から飛び石の左側はキトサン溶液スーパーグリーンの定期散布を停止して様子を見ています。停止した側にはパッチが3つほどあり、定期散布している側にはまだパッチが確認できません。これが梅雨末期に向けてどれぐらい差が出るのか、興味深いところです。

おそらくですが、薬害の発生の有無に関わらず除草剤散布によって病気への耐性も少し低下すると思われますので、来年は除草剤をまかずに葉枯病の時期を迎えるテストをしても面白いかなと思っていたりします。


キトサン溶液スーパーグリーンの散布の有無はミミズの糞塚形成にも違いが出ていまして、散布を停止している側の方が糞塚が多い傾向が出ています。キトサン溶液スーパーグリーンを散布している側にも糞塚はあるのですが、発生数はかなり抑えられているように感じます。これも梅雨末期に向けてどのような違いが出るのか興味深いところです。


病気のパッチと似ている害虫の食害 ネキリムシ注意報

梅雨時期に時々いただく問い合わせで「病気のパッチだと思って殺菌剤を散布したが症状が改善しない」「殺菌剤を散布してもパッチが増える」といったものがあります。今年もちょうどそのお問い合わせをいただき、写真使用の許可をいただきましたのでみなさんと共有させていただければと思います。

パッチに見えるこの症状は時期と枯れの様子からしてネキリムシ(タマナヤガの幼虫)の可能性が高いと思われます。ですので、対応策は殺虫剤の散布になります。

また、乾燥害でもパッチ状に枯れることがあるようですが、散水に気をつかう一般家庭では症状が出る可能性は低いと思われます。有効土層(根が張れる深さ、水を保持できる深さ)が非常に浅い、まったく散水しない、など特殊なケースでないとなかなか発生しないのではないかと思います。

昨年も同時期にもこの話題に触れましたが、今年は貴重な症状の写真をご提供いただきましたので、あらためて注意喚起としてお知らせいたします。

関連記事:病気と間違いやすいパッチ(芝生の枯れ)の正体

遅れに遅れた梅雨が早々に明けてしまうのではという報道もあり、ダムの貯水量の心配をしていたのですが、梅雨明けが平年並みとの予報に変わり雨もまだ降りそうで一安心です。芝生の病気のことを考えると雨があまり降らない方がいいのですが、渇水で散水できなくなるのも困りものなので、ほどほどに降ってくれるのがいいですね。