またまた除草剤の薬害発生、その理由と影響

2023年6月11日(日)

ベントグラスの様子

雨や曇りの日が多く、梅雨らしい天候となっています。昨晩も雨でした。

ベントグラスは13ミリから17ミリへ刈り高を上げました。これから夏にかけて徐々に刈り高を上げていきます。

上へ上へと成長する性質と夏には根が浅くなることから、自分自身に根を張るような状態になり、はがしやすくなるという目論見です。(来年にはTM9に張り替える予定です)


ベントグラスには所々に小さいながらも枯れてくぼんだようになっている部分があります。

害虫の食害かダラースポットの初期症状と思われます。

早めに対処するなら殺虫剤や殺菌剤を散布するのが吉ですが、いつものごとく「今後はどうなってゆくのだろう」という興味からこのまま様子見します。


姫高麗芝の様子

姫高麗芝は昨夕に20ミリで芝刈り。週1回ペースです。

リフォーム時に電線を埋設するために芝生をはがした跡がまだ残っています。

張りなおした際に凹みも発生しているため、もう少し仕事が落ち着いたら目土入れで徐々に修正していく予定です。


電線を埋設したあたりはリフォーム時の踏圧による傷みも一番大きかったのですが、順調に回復中です。


リフォーム終了時はこんな状況でした。(リスキーな除草剤の実験で薬害が出ていた影響もあります)

スーパーグリーンフードやハイアップの散布、キトサン溶液スーパーグリーンの定期散布が相乗効果を発揮してくれていると思います。


またまた除草剤の薬害発生

姫高麗芝には先週除草剤を散布しました。

この散布エリアと次の写真を見比べてみてください。


なんとなく散布エリアの方が黄色っぽくなっているのがわかりますでしょうか。

おそらく除草剤散布による薬害が発生しているものと思います。

なぜ薬害が出てしまったのかについてはいくつかの要因が重なってしまったことが考えられます。(正しい使い方で芝生の健康状態に問題が無ければ通常は薬害は出ません)


このように薬害によって枯れた葉が増えていることが黄色っぽく見える原因となっています。

なぜ薬害が出てしまったのかについて、次のようにまとめてみました。


■前回の薬害から回復しきれていなかった

春にリスキーな除草剤の実験をして薬害が出ていたのは過去にレポートした通りですが、その薬害から回復しきれていなかった可能性があります。

土壌処理剤(土壌に成分が吸着して長期間効果を発揮するタイプ)による薬害でしたから、薬が効きながら回復していたことになります。

まだある程度土壌処理剤の負担が残る中で今回の茎葉処理剤(茎や葉から成分が吸収されて効果を発揮するタイプ)を散布してしまったため負担が重なってしまったことが考えられます。


■散布当日の気温が30℃付近まで上がっていた

茎葉処理剤を散布した日は気温が30℃付近まで上昇していました。

気温が高いほど薬剤吸収が高まる傾向があるため、これも負担を高める原因となってしまった可能性があります。


■芝刈りの翌日に散布した

芝刈りは葉を切断する作業になりますが、切断面から薬剤が吸収されやすくなります。

気温上昇による要因と合わせて相乗的に薬剤が吸収されてしまったと考えられます。

このリスクを下げるためには、芝刈りから2~3日経過し、切り口がある程度治癒してからの方がいいでしょう。


今回、除草剤の薬害が発生したのは、以上のような要因や条件が重なってしまったことが大きく影響していると考えられます。

ひょっとすると春の実験による薬害が発生していなければ、散布当日の気温や芝刈りの翌日という条件があったとしても薬害は発生していなかったかもしれません。

気温や芝刈りとのタイミングについては、必ず薬害が出るというものではなく、薬害リスクが高まる要因の一つ、として考えていただくといいのではないかと思います。


繰り返しになりますが、適切な使用方法においては薬害発生のリスクは非常に小さく、薬害が発生するのは使い方やタイミング、芝生の健康状態が大きく影響します。

薬害の発生によって製品の良し悪しを判断するものではありませんので、ご理解をいただければと思います。

みなさんが除草剤を散布される際の注意点としてご参考になれば幸いです。


薬害によって芝生の健康状態が低下すると病気にも影響する

薬害が発生すると、芝生の健康状態も低下していることでしょう。

快方に向かっていたラージパッチが少々悪化したようで、パッチが先週よりハッキリしています。

もちろん薬害の影響だけでなく天候の影響もあるとは思いますが、芝生の健全性はやはり大切なのだなとあらためて教えられます。


回復を促すために恒例となっているキトサン溶液スーパーグリーンの定期散布にスーパー・ポリ・スピリットを加えて混合散布。

キトサン溶液スーパーグリーンは発根や栄養吸収の促進、アミノ酸による健全性向上、キトサンが餌となり有用微生物の放線菌が増殖、酢酸の土壌微生物活性化などの効果が期待できます。

スーパー・ポリ・スピリットはカリを素早く吸収させることで、光合成が低下しがちな時に芝生体内の生理移行を促進してくれる(害虫や病原菌が好む物質の滞留を防ぐ)作用が期待できます。


先日エルニーニョ発生の発表がありましたが、今年の梅雨から夏にかけての天候はどうなるのでしょうね。

気象庁のサイトには「エルニーニョ現象発生時の日本の天候の特徴」という記事がありますが、西日本は気温低めで日照時間も短くなりがちなようです。

資材散布による光合成促進にも限界があるとは言え、少しでもプラスになるならと思い散布しています。

できれば「なんだ大したことなかったな」で終わってくれればいいのですが。(水害も含めて)