カーブラリア葉枯病(犬の足跡病)の発生する時期と症状
葉枯病の症状
カーブラリア葉枯病は別名「犬の足跡病」と言われるように、褐色の点々とした小さなパッチ(枯れ)が発生します。症状が悪化するとパッチが次第に拡大し、周辺のパッチと融合して巨大なパッチに成長します。悪化したまま何もせずに放置すると芝生が枯死して拉致化することもありますので、早めに対処しておきましょう。
葉枯病の病原菌は、繁殖力や感染力が非常に強く、無農薬での対処はかなり難しい病気です。早めに殺菌剤で対処することが現実的です。使用する殺菌剤については後述sます。
点々としたパッチが増加している様子。やがて融合して大きなパッチへと変化します。
病気が発生する時期
カーブラリア葉枯病は、管理人宅のような暖地(瀬戸内地方)では、6月初旬から発症し始めて梅雨で悪化します。発症自体を抑制する場合は、5月下旬~6月上旬にかけて最初の殺菌剤を投与してください。(使用する殺菌剤については後述します)
梅雨が明けても条件が悪ければ病状は続きます。治りきらないまま秋雨の時期を迎えますと、再度パッチが激発することになります。
6月から10月までは条件次第で激発するという前提で備えてください。
葉枯病はどういう時に悪化しやすいのか
葉枯病の症状が悪化する条件は次の通りです。
カーブラリア葉枯病の病原菌は、繁殖力、感染力ともに強く、水分を好みます。大量の雨や夜露で悪化しますので、そうなる前にしっかり病原菌を抑制しておくことが、悪化を予防するポイントです。
悪化の条件が揃った時には病原菌が猛烈に活発に増殖し、このような綿状の菌糸が見られることもあります。
葉枯病のパッチとキノコが併発している様子。芝生にとって悪い菌が増殖していることを示しています。写真のように芝生が狭くなっている場所では、問題が発生しやすいように感じます。管理人宅はこういう場所が多いのも葉枯病を悪化させやすい条件になっているのでしょう。
駐車した車とフェンスの間は夜間の風通しが悪く、葉枯病が悪化しやすいと感じます。駐車場に余裕がある場合は、車を駐める位置を変えて風通しを確保する工夫も必要でしょう。
管理人宅では飛び石付近から発症するのが定番となっています。その原因は、おそらく飛び石より芝生の方が高くなってしまったことによって、雨天時に水たまりになるからだと思われます。
このように飛び石の方がへこんでいますから、大量の雨が降ると水たまりと化してしまいます。葉枯病の病原菌は水たまりが大好きですから、周辺の芝生に感染しやすいのでしょう。
水たまり付近で発症したカーブラリア葉枯病は、雨天時のしぶきによって周辺へ移動し罹患します。また、芝刈り機に付着して伝播していくこともあります。
カーブラリア葉枯病を抑制する方法
葉枯病に適用がある殺菌剤を使用する
カーブラリア葉枯病を抑制するのは殺菌剤を使用するのが確実です。芝生の葉枯病に適用がある殺菌剤を適量散布して防除してください。主だった殺菌剤には次のようなものがあります。
タフシーバやモノクタジン、芝美人などの芝生専用の殺菌剤は、適用病害が多くゴルフ場での防除実績もあって優れているのですが、容量が多すぎて一般家庭では期限までに使いきれないという一面もあります。
一般家庭で容量的な面で使いやすいのはロブラール水和剤やラリー水和剤でしょう。ただし、これらは単独で連続しようすると耐性菌ができやすいという特徴がありますから、二つを組み合わせて交互に散布するローテーションを推奨します。
ロブラール水和剤を散布すると、散布箇所は約1ヶ月ぐらいは発症が抑えられるのを確認しています。ただし、気象条件や環境にも左右される可能性がありますから、芝生の変色などの異変を察知したら早めに散布しておくことをお勧めします。
前述しましたが、ロブラール水和剤は連用すると耐性菌ができやすい殺菌剤ですから、ラリー水和剤などと交互に散布するローテーションをお勧めします。
また、殺菌剤の効果をより確実にする意味で、展着剤を使用することを強くお勧めします。芝生の葉は水をはじく性質があるため、展着剤によってそれを防いでやる必要があります。
無農薬での葉枯病抑制は非常に難しい
管理人宅では毎年のように無農薬による対処にチャレンジしていますが、非常に水はけが悪い土壌であることと、風がよどむ地形に家があることもあいまって、2018年現在では無農薬で抑制する方法は見つかっていません。
ただし、発症から悪化はすれど枯死までにはいたらず、自然治癒はできているという状況です。
無農薬管理によって激発した葉枯病のパッチ(2014年9月上旬の様子)。普通ならここに至るまでに殺菌剤投与で防除すべきですが、あくまでも無農薬での対処を追求するために殺菌剤は散布せずにチャレンジしています。
上の写真から1ヶ月後の様子。パッチがかなり薄くなっている様子が分かります。気象条件にもよりますが、芝生の健全性を高める方向で手入れをしておくと自然治癒による回復に期待が持てます。人間でも、普段から健康に気をつけている人と不摂生な生活をしている人とでは、いざ病気になった時の回復力が違うのと同じでしょう。
カーブラリア葉枯病は、無農薬管理ですと手ごわい病気になりますが、農薬を使用すると抑制可能です。管理人のようにマニアックな研究目的が無いのであれば、殺菌剤で抑制するのが現実的です。
大変参考になる記事で大いに活用させて頂いております。本当によくご研究、探究されていますね。
私も、どちらかといえば貴台と同じく無農薬派ですので本当に参考になります。そこで2~3ご教示ください。
1.不陸区部の修正について。・・・・最近我家の芝生にカーブラリア病らしきものが、発生しまし て対策に苦心しています。(植え付け後約2年です。)不陸部があり、そこからはキノコなどが生 えてきますので、多分水はけがよくないのだと思います。そこで、先ずは、これを改善したいので すが、目土を入れる時期は、 芝が青い時期の今頃でも問題ないのでしょうか?それとも冬枯れす る時期が良いのでしょうか?
やるとすればどの程度(何cm位)が 良いのでしょうか。(地盤が少し高くなるのは承知の上で す。)レーキ等もそろえてありますが、どうも納得いく方法がわかりませんので、よろしくお願い いたします。それと、不陸部を目土で補うことで傾斜を修正して、水はけは改善するのでしょう か?
2.貴台の記事の中にありました、病害対策の「薬剤」を使うなら、2種類を交互にうまく使え、と のことですが、それは了解ですが、散布する「薬剤」の一か月あたりの、散布回数はどの程度です か? 又、同時に色々な有機肥料なども、散布回数は基本的にどの程度を目安にすればよいでしょ うか。(ちなみに私は、芝刈り後に1回/月程度、肥料用法量に従い散布していますが、適切なの かどうか不明です。)
芝生の面積は、約30㎡と約25㎡(芝生植え付け面を、便宜上東西に中心線をひたとして、南北2面で表現しますと、どうも、北側面が日は十分当たりますが、不陸部が多い地面になってります。北面は芝を植える時にしっかり整地しなかったツケが来ているようです。)お問い合わせは以上ですが、面倒なお願いながら、何卒よろしくお願いいたします。
貴台の記事を印刷にかけますと、右端の文字の一部分が切れて、印刷から漏れて、記事が読みにくくなりますが、何か改善できますか?併せてよろしくお願いいたします。 長島 拝
いつもサイトをご覧いただきましてありがとうございます。
目土入れはいつやっても大丈夫です。
2~3ミリ程度の目土入れを成長具合を見ながら繰り返すことをお勧めします。平米あたり2~3リットルぐらいの目土もしくは目砂を入れると、だいたい2~3ミリ厚になります。グランドレベルが上昇しても構わないのであれば、目土入れを繰り返しながら徐々に傾斜をつけて表面排水を改善したいですね。葉枯病の病原菌は水たまりを好みますから、表層を水が流れてしまう構造が理想です。
目土入れには手押し式のスプレッダーのような散布機があると便利です。
https://shibafu.enjoy-gardening.com/metuti/
どさっと入れてトンボでならす方法ですと、5~10ミリぐらい入ると思います。問題が起きることはありませんが、思ったより目土が入ってしまった場合に除去することはほぼ不可能ですから、入れすぎには注意が必要です。
不陸修正として目土入れをする場合は、ローラーがあると理想です。
農薬の散布については、必ずこの期間でやるという決まりはありませんが、ロブラール水和剤とラリー水和剤の組み合わせであれば、5月~10月まで月1回ペースで交互に散布するとほぼ抑制できるのではないかと思います。(ロブラールを以前散布した時には、ほぼ1ヶ月ぐらいは抑制できていました)
肥料は芝生用のものであれば説明書通りが基本になります。応用的に使用する場合は成長具合を見ながら量や期間を調整してください。粒状肥料で施肥のベースを作り、追加する場合は液肥を使うと便利です。
印刷で端が切れる件については、インターネットエクスプローラー特有の現象のようです。現在のところ解決方法が不明です。申し訳ありません。FireFoxですと端まで印刷できましたので、インストールされているようでしたらそちらで印刷してみてください。