芝生の更新作業と除草剤の注意点

2021年1月31日(日)

更新作業の時期を迎えた芝生への除草剤散布は要注意

気温はまだ低いものの日差しに春の気配がしっかり感じられるようになってきました。2月に入るといよいよ日本芝を起こすための更新作業の時期になります。そこで今回は更新作業と除草剤散布について注意喚起をしておきたいと思います。


スイセンに注がれる日差しにも春の雰囲気が漂い、芝生のシーズンインが近いことを予感させてくれます。


寒さに強いベントグラスは春の気配を感じ取ってスイッチが入ってきた感じです。来週あたりには久しぶりの芝刈りをする予定です。


寒地型西洋芝の春の立ち上がりは根の成長が先行しますから、それをさらに後押しするため発根促進を目的とした液肥を散布。スーパー・ポリ・スピリットを1000倍、アルムグリーンを500倍で混合散布しておきました。スーパー・ポリ・スピリットのカリは根肥、アルムグリーンの有機酸が発根を促します。


姫高麗芝は毎日のように降りる霜できれいに冬枯れしました。このぐらいしっかり枯れてくれるとかえって気持ちがいいですね。


昨年暮れに除草剤を散布しなかったエリアにはこのようにスズメノカタビラが密生しているところがあります。あえて散布するエリアとしないエリアを分けておくと、資材の効果がよりはっきりと実感できます。


所々に密生している部分にだけ散布するため、ハンディースプレータイプのシバキープ液剤スプレーを使用。成分としてはアージランとMCPPが混合されていますから、イネ科にも広葉雑草にも効果が期待できます。

希釈されたタイプなのでそのまま手軽にスプレーできるところが便利ですね。

以前は特定のホームセンター専用だったようですが、今年からメーカーの総合カタログに掲載されていますのでおそらく広く流通させることになったようです。松浦商店でも取り扱いを検討しています。


除草剤を部分散布にしたのは更新作業が近いからという理由があります。更新作業では冬枯れした芝の低刈りや芝焼、エアレーション、根切り、サッチングなどの様々な作業を行いますが、この中で「根を切断する作業」を行う場合は、前後2か月ぐらいは除草剤散布を避けていただいた方がいいでしょう(メーカー推奨としては3か月)。もしすでに除草剤を散布してしまったという場合は、エアレーションやバーチカルカットなどの根を切断する作業は先延ばししてください。

更新作業の詳細については「2月の芝生の手入れ」をご覧ください。


除草剤には茎葉から吸収させて枯らす「茎葉処理タイプ」と、土壌に薬剤が吸着されて処理層を形成し発芽と同時に枯らす「土壌処理タイプ」があります。根を切断する作業で特に要注意なのが土壌処理タイプです。シバキープII粒剤やシバキープPro顆粒水和剤、シバゲンDF、シマジンなどがあります。

根を切断する作業を行った直後の芝はある意味「弱っている状態」とも言えます。芝生の除草剤は芝生への影響がゼロではなく「健全な状態」においては気にならない程度の影響にとどまるだけですから、弱っているところに散布してしまうと影響が出てしまうことがあります。いわゆる薬害ですね。

ですので、土壌処理タイプの除草剤を散布して処理層を形成しているうちに根切り作業をしたり、根切り作業をした直後に処理層が形成されてしまうと、じわじわと吸収された薬剤が成長を阻害するなどの影響をおよぼすことがあります。

私の自宅では根切り作業と除草剤散布を1か月ぐらい空ければ大丈夫だったこともありますが、栄養の与え方などの違いで芝生の体調次第では影響が出ることもあるようです。ですので念のため2か月以上は間を空けていただくことをお勧めします。(メーカー推奨は3か月)


せっかくの春のワクワクシーズンですから更新作業の時期に除草剤を散布する際には上記の点に十分気を付けて作業を行ってください。

除草剤は非常に便利な資材ですが注意事項もいろいろありますので必ず説明書をよく読んでからご使用ください。