原因不明の芝生の枯れ

原因不明の芝生の枯れはどう対処すれば良いのか

拙サイトへの問い合わせで一番多いのが「枯れ」に関するものです。「芝生が枯れてきたのだけどどうすれば良いですか」というお問い合わせをよくいただくのですが、症状をお聞きしながらケースバイケースで回答しています。

例えば、カーブラリア葉枯病やラージパッチなどのように特徴的な枯れ方をしている場合は比較的簡単に解決策を提示できます。これらの病害は時期や天候、手入れの内容といった条件からも特定しやすいのです。

ところが、お問い合わせの中には時期や天候、症状などをお聞きしてもよく分からない場合もあります。せっかく写真まで送っていただいても、病気なのか害虫なのか、はたまた何らかの障害なのかが不明な場合もあります。このように枯れの原因がよく分からない場合はどうすれば良いのでしょうか。

考えられる原因を潰していくのが現実策

芝生が枯れる原因は、害虫の食害、病気、水不足、肥料や農薬による焼けや傷みなどがありますが、大半は害虫か病気によるものです。枯れの原因がよく分からないケースは、これらの原因をひとつずつつぶしていくことが現実策と言えるでしょう。

まずは殺虫剤を散布して様子見

何から手始めにやるかということですが、最も被害が急拡大しやすいのが害虫ですから殺虫剤による害虫駆除を一番にお勧めしています。園芸用殺虫剤のスミチオンなら芝生に使えますし、どこのホームセンターでも手軽に入手できますから、原因つぶしの手始めとしてはうってつけです。ただ、手軽にできるといっても農薬ですから、取り扱いは説明書通り正しく行う必要があります。

スミチオンは対象となる害虫によって散布量が変わります。最も深い場所にいるコガネムシの幼虫を狙うには1平米あたり1000倍液を3リットル散布する必要があります。コガネムシの幼虫を狙っておけば、それより浅いところにいるヨトウやシバツトガの幼虫も駆除できます。農薬は対象に届かなければ効果を発揮しませんので、それを前提に散布計画を立ててください。

農薬に抵抗があって、いきなり全体に散布するのが抵抗がある場合は、枯れている部分だけ散布して様子を見てみるのもいいでしょう。ただし、駆除していない場所でその後食害が発生することもありますから油断は禁物です。

殺虫剤を散布したら、害虫の死骸が確認できるかどうか、その後枯れがひどくなる様子がないかを確認してください。たいていは殺虫剤で終わると思いますが、たまに病害だったというケースもあります。その場合は次のステップに進みます。

殺虫剤でだめなら殺菌剤

ダラースポットの初期症状などのように、害虫被害と区別がつかない病気が原因だった場合、殺虫剤の散布では治まりません。こうなると次は殺菌剤の出番です。

もし可能であれば、幅広い病害に対応可能な、芝生用殺菌剤を使用してください。原因が特定しにくい時には、幅広く効いてくれる殺菌剤によって、的中確率が上がります。ただし、芝生用の殺菌剤はゴルフ場や競技場などを対象に作られていますから、1本の容量が多く、一般家庭では多少もてあますことがあるかもしれません。また、平米単価のコストパフォーマンスは良いのですが、量が多いことで1本あたりが高くつくことがあります。

ホームセンターにも芝生に使える殺菌剤がありますので、それらを散布して様子を見ることも手でしょう。A剤を散布して改善が見られなかったらB剤という具合に。

殺虫剤と殺菌剤を混合散布

ひとつずつ原因をつぶすのはまどろっこしいとお考えでしたら、殺虫剤のスミチオンと殺菌剤を混合散布する方法もあります。これなら最初から害虫と病気の原因をつぶすことができます(殺菌剤の適用範囲外の病気だった場合は再散布が必要)。

資材の混合には注意が必要ですので、こちらの記事を参照してください。『液体資材の混合散布

上記リンク先のページにも書いていますが、混合不可の資材もありますので、必ず説明書をよく読んでから混合の可否を判断してください。




枯れ始めたら必ず農薬を使わなければならないのか

農薬はできるだけ使いたくない。そういう要望も多々いただきます。農薬を使うメリットは、効果が早くて確実性が高いことです。もしこれらを求めないのであれば、病害予防や抑制を目的とした資材で対処するという方法もあります。

なんらかの芝生用の資材を適切に散布していれば、害虫の寄り付きも少なくなりますし、病気にかかったとしても時間をかけて自然治癒させることができます。漢方や有機酸の入った資材は特にお勧めです。

枯れている芝を見ているだけというのはちょっと勇気がいることですが、慣れてくるとこんなもんかなという感じになってきます。管理人は「この後どうなるんだろう」というマニアックな興味があってあえて農薬を使わない場合がほとんどですが、無農薬管理をみなさんに押し付けたいという意図はありません。

少しでも早くトラブルを脱したいという方は積極的に農薬を取り入れていただいたらいいと思います。リスク承知で無農薬を優先するなら予防資材を併用しながら様子見という形もいいでしょう。

ご自身の考え方によってご判断ください。

殺虫剤や殺菌剤で解決できなかったら?

農薬を使っても解決できなかったら、その他の要因を疑わなければなりません。

栄養バランスはどうか、散水は適切か(少なすぎや多すぎ)、そもそも芝生が適切に育つ環境になっているのか、などさまざまな要因が考えられます。

これらも一つ一つつぶしていくしかありません。困った時にはいつでも相談に乗りますので、お気軽に管理人宛にお問い合わせください。