日本芝(高麗系)の4月の手入れ

4月は芝生の成長が加速する

4月の姫高麗芝の様子

4月に入ると緑化が一段と進み、日増しに緑が増えていくのが確認できます。ピークへの期待が高まる月ですね。ただし、気温が上昇するのにつれて病原菌や害虫の活動も活発になりますので、病虫害の心配も出てきます。病虫害の発生しにくい環境作りが大切になります。

気になる症状が現れた場合は早めに対処しておきましょう。原因がよく分からない枯れが発生した時には、原因を潰して様子を見るのも手です。参考記事『芝生が枯れ始めたけど原因がよく分からない


発根促進

2月、3月で更新作業をした芝の生育を加速させるためには、しっかりと栄養を与えながら成長を促すことが重要です。

春の日本芝は根よりも地上部分が先行して成長しがちですから、根からの栄養吸収が追いつかず栄養バランスが崩れ、黄化や病虫害リスクが高まるなど様々な障害が現れやすくなります。

有機酸を含む資材には根の成長を促す作用がありますので、そういった資材を肥料と併用することで予防策になります。

管理人が使用している発根促進の資材は、有機酸酵素EXやアルムグリーン、キトサン溶液スーパーグリーンなどがあります。全部を使う必要はありませんので、好みによってチョイスしてください。


芝張り・部分張替え

ベタ張り

暖地では1年の中で最も芝張りや部分的な張替え作業に適した時期に入ります。寒さを心配することもなく、活着(かっちゃく:芝が根付くこと)もスムーズに進行するため、芝張りの成功率も高くなる時期だと言えます。

気温が上昇しますので、芝張り後の水切れには注意をしてください。特にゴールデンウイークが近くなってくると一気に気温が上がることがありますので、芝張り後は毎朝たっぷりの散水が欠かせなくなります。

張替えをする場合は、必ず古い芝をはがしてから行いましょう。以前ご相談いただいた中に、古い芝の上に土をかぶせて芝張りをした結果、キノコが大繁殖したということがありました。キノコは有機物(枯れた葉や根)をエサとして増殖しますので、土壌中に古い芝があるとキノコの温床になることがあります。

関連記事:
後悔しないための芝生の張り方・植え方教えます
張り替えた芝生はどれくらいで馴染む?


芝生の雑草対策

4月は雑草の勢いも一段と増します。油断しているとあっという間に大きくなりますので、気がついたらこまめに抜くようにしましょう。除草剤を使用する場合は、雑草の発芽を抑制する「土壌処理効果」のある製品がお勧めです。

■除草剤選びのチェックポイント

除草剤には「茎葉処理」と「土壌処理」の2タイプがあります。「茎葉処理」は茎や葉から薬を吸収させて枯らすタイプで、生えている雑草を駆除します。大きくなってしまった雑草には効きにくいことがありますので、発芽を確認したら早いうちの処理が望ましいです。「土壌処理」は発芽を抑制する効果があります。土壌に浸透した薬剤が数ヶ月に渡って雑草の発芽を抑制しますので、生えてこない環境を維持できます。

イネ科から広葉雑草まで幅広い適用があり、なおかつ茎葉処理も土壌処理も可能なシバゲンDFやシバキープII粒剤などが便利です。(シバキープには様々な商品がありますので、しっかり説明書を読んで目的に合ったものを選んでください)

芝刈り

4月に入ると成長スピードが徐々に早くなりますので、必要に応じて芝刈りを開始してください。早すぎる芝刈りは全く問題ありませんが、遅すぎる芝刈りは芝生に負担がかかったり軸刈りなどの問題が生じることがあります。また、早いうちからこまめな芝刈りを繰り返すことで、密度の上昇も早くなります。

芝生の生育はムラがあることが多く、葉がよく伸びる所とそうでない所があります。特に際の部分はよく伸びることがあります。この場合、よく伸びる場所が芝刈りに適した長さになったら芝刈りを開始してください。あまり伸びない場所が成長するまで待っていると、よく伸びる場所が伸びすぎになって軸刈りになることがあります。

芝刈りは遅すぎて困ることはあっても、早すぎて困ることは無いと覚えておきましょう。

関連記事:芝刈りについて


芝生の施肥

芝生の成長が旺盛になる時期ですので、積極的に肥料を与えて生育を促しましょう。窒素換算で平米2~3g程度(窒素10%の肥料で平米20~30g)程度を月1回与えるのが目安となります。肥料の与え方は製品ごとに異なりますので、説明書に従って散布してください。

肥料の与えすぎは根を傷めたり葉焼けを起こすトラブルの元になります。早く成長させたいからといって、用量の2倍与えたりするようなことはやめましょう。多めに与えたい場合は、一度にやるより複数回に分けてトータルで多めになるようにしてください。

また、栄養バランスも非常に大切です。芝生は十数種類の栄養素を必要としますので、主要三要素のチッソ・リン酸・カリだけでなく、その他の栄養素も投入してあげることが重要です。栄養バランスが崩れると黄化などの様々なトラブルが発生しやすくなります。

関連記事:芝生の肥料について

芝生の水やり

ほとんど必要ありませんが、施肥をした後は土壌が乾燥しすぎないように気をつけてください。過乾燥になると土壌に溶けだした肥料が濃すぎる状態になり、根を傷めてしまうことが考えられます。

暖地ではゴールデンウイーク頃になると急に気温が上がることがありますから、雨が少ない乾燥気味の天候が続いている場合は適度に水を与えてください。

散水量は芝生の成長に大きな影響があります。

関連記事:芝生の水やり・散水について

芝生の病気

緑が増えると、春はげ症や立枯病(ゾイシアディクライン)などの芽出しに影響する病気は症状がはっきりとしてきます。すぐに何とかしたいと思うのが愛好家の心理だと思いますが、残念ながらこれらの病気は秋に罹患しますので、春に症状が出てから殺菌剤をまいても急速に回復することは期待できません。今シーズンの秋に春はげ症やゾイシアンディクライン(立枯病)に対応した殺菌剤を散布して、翌年の発症を抑制しましょう。(芝美人フロアブル、モノクタジンフロアブル、タフシーバなど)

春はげ症や立枯病(ゾイシアディクライン)は、重症でなければ6~7月ごろには自然回復します。施肥によってしっかり栄養を与えながら、スーパーグリーンフードや有機酸酵素EXなどの成長促進作用がある資材を併用して修復を促してください。

また、ラージパッチなどの適度な気温を好む病害も発症リスクが高くなります。天候不順が続いて芝生の健全成長が阻害されている時は注意が必要です。芝生の耐病性を高める「ケイ酸」や「カルシウム」「カリ」などの栄養素を与えながら、土壌に病原菌が繁殖しにくい環境を維持するようにしてください。

ラージパッチが発症した場合は、バリダシン液剤やロブラール水和剤、芝美人フロアブル、モノクタジンフロアブルなどの薬剤で殺菌するのが最も早い治癒手段となります。

無農薬で対応するなら、PHを6.5以下に下げることが大前提となります。これだけでもかなり効果があると思いますが、吸収の早い硝酸カリ(スーパー・ポリ・スピリット)を吸わせて生理移行を促進するとさらに効果が高まるでしょう。

関連記事:芝生の病害対策

芝生の害虫

4月からは害虫の活動が本格化するシーズンとなります。変色や枯れ、密度の低下など芝生に変化が生じないかを毎日観察しておきましょう。芝生のシーズン中は、常に何らかの害虫がいると思って警戒をしてください。

害虫かな?と思われる異変を察知したら、早めに殺虫剤(スミチオンなど)で対処しておくと安心です。

不快害虫のミミズも活動が活発になり始めます。孵化する時期でもあり小さなミミズも多数存在することがあります。これらが大きくなって次の世代を残さないうちに早めに駆除しておきましょう。ミミズの駆除にはサポニンを含む椿油粕や茶実粕などが効果があります。

病虫害対策については、「芝生の病害対策」「芝生の害虫対策」「芝生のミミズ対策」もご参照ください。


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寒地型西洋芝の4月の手入れ

4月は寒地型西洋芝の成長が加速する

4月のケンタッキーブルーグラスの様子

気温も上がり成長が旺盛になります。葉の隙間から次々と新芽が生え、密度も急上昇します。美しい芝と病害は表裏一体ですので、予防策にも力を入れてください。


播種(はしゅ:種まき)

暖地では播種(はしゅ)に適した時期になります。秋から冬にかけて傷んだり薄くなった場所の追いまきにも適しています。

発芽率も良好で、発芽後の成長もスムーズに進行するでしょう。


芝刈り

葉の成長スピードが上がりますので、伸びすぎにならないよう芝刈りのペースを調整してください。成長具合によっては週2回ペースでちょうど良いぐらいになります。伸ばしすぎてからの芝刈りは芝草にダメージを与え、せっかく体内に蓄えた栄養を捨てることになりますから、夏越しへの備えも弱くなってしまいます。

水やり

週2~3回ぐらいを目安に水やりしてください。近年の春は天候不良が発生しやすいですから、雨や曇りの日が多い場合は散水頻度を下げるなどして対応してください。多湿が続くと病気の原因にもなります。

散水のタイミングは朝がお勧めです。

肥料

粒状肥料(固形肥料)を説明書通りに与えます。肥料によって散布時期やタイミングが異なりますので、説明書の通りに散布してください。応用的な使い方ができる方は様子を見ながらタイミングや量を調整してください。

ケイ酸やカルシウム、カリが入った液肥を併用することで、徒長の抑制や健全性向上の効果があります。また、鉄や苦土が入った液肥を併用すると、光合成が活発になるだけでなく、葉の色も鮮やかできれいになります。鉄や苦土は花の色も鮮やかになりますから、芝生に散布したついでに花壇や鉢植えにもまいておくといいでしょう。

病気

気温が徐々に上がってくると様々な病原菌が活動を始めます。寒地型西洋芝は病気にかかりやすく悪化しやすいですから、症状が深刻になる前に予防資材や殺菌剤で抑制しておきましょう。

■発生の可能性がある病害
さび病、立ち枯れ病、ヘルミントスポリウム葉枯病、炭疽病、ダラースポット病、フェアリーリング病、細菌病、フザリウム病、ピシウム病、紅色雪腐病、雪腐小粒菌核病

冬期根雪になる地域では、紅色雪腐病、雪腐小粒菌核病は11月頃、降雪前に殺菌剤で防除しておく必要があります。

害虫

4月ごろから害虫被害が出やすくなります。部分的に枯れる、密度が低下する、地上部分がポロポロ取れるなど、害虫の食害と思われる症状が発生したら、即効性のあるスミチオンなどを散布して駆除しておきましょう。予防的な薬剤散布をする場合は、食毒性のオルトランやダイアジノンを使用します。食毒性の殺虫剤は、薬剤が芝生に浸透することによってそれを食べた害虫が殺虫されます。食毒性の殺虫剤は薬が触れて殺虫するものではありませんので、薬剤の特徴を理解して使用してください。

夏越しの準備

寒地型西洋芝は、夏になると日中の高温と強い日差しによって光合成ができなくなります。光合成ができなくなると、体内に蓄積された養分を逆転させて生存のためのエネルギーに転換します。そのため、春から夏前にかけて栄養をしっかり吸収させ、健全な成長を促して栄養を蓄積させておく必要があります。ケイ酸、カルシウム、カリ、鉄、苦土、その他の微量葉素を適度に入れて、健全成長を促してください。病虫害にもしっかり備えて、この時期にダメージを与えないことも重要です。


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