霜柱から芝生の根を守る

冬は霜柱による根の傷みにご用心

冬枯れ前の芝生は長めに刈っておく

霜柱で盛り上がった芝
霜柱で盛り上がった芝

冬になると空き地などでは霜柱がよく見られます。空き地や裸地は芝生などのグランドカバーがありませんから、寒気の影響を直接受けるため霜柱ができてしまいます。

地表が植物で覆われていない畑や花壇などでも霜柱ができることがありますが、霜柱で根を傷めることを防ぐ目的でマルチング(シートや敷き藁、バークチップなどで地表を覆う)などの防御策が施されます。霜柱は植物の根にとってはデメリットしかありません。


休眠前の芝生は刈り高を高めにする

芝生はグランドカバーになりますから、地表を覆うように生えています。休眠する前に刈り高を少し高めにしておくと、冬枯れした芝生の葉がマルチング代わりになって寒気から土壌を守ってくれます。普段、20ミリ以下で芝刈りしている場合は、9月下旬から10月初旬あたりから休眠を意識して刈り高を1段階高めにしておくといいでしょう。普段から25ミリ以上で刈っているならそのままでも大丈夫です。


秋から休眠にかけて芝生の密度低下にも注意

芝生の密度が低下した部分にできた霜柱
芝生の密度が低下した部分にできた霜柱

芝生の密度が低下していると、休眠期の保護作用が低下しますから霜柱ができてしまうことがあります。密度が薄いところに霜柱ができると、根が傷んで春の立ち上がりに影響し、修復が遅れることがあります。

密度の低下は、害虫の食害や病気、踏圧が主な理由です。秋は芝生の成長が衰えるため障害が発生すると再生せずに休眠してしまいます。秋にこれらの密度低下の要因ができるだけ発生しないようにしておくことも霜柱対策になります。


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寒地型西洋芝も密度低下に供える

冬でも密度を保っている寒地型西洋芝
冬でも密度が保てれば芝生の中に霜柱はできない

寒地型西洋芝も真冬にはほとんど成長が止まってしまいます。冬枯れしないだけで成長はしませんから、秋に病虫害などによって密度の低下や裸地化が発生すると、その部分に霜柱が発生する可能性が出てきます。

成長が衰え始める11月頃からは、病虫害の発生に注意して霜柱ができにくい環境を維持しておきましょう。


微生物が活発な土壌は地温が下がりにくい

土壌にはたくさんの種類の微生物が存在しています。これらの微生物が活発な土壌は、冬に地温が下がりにくいという性質があります。シーズン中から微生物資材や微生物活動を活発にする資材を積極的に取り入れておけば、冬の地温低下に強い土壌作りができます。




霜柱ができちゃった、どうしよう

凍っている状態でいきなり踏まない

凍っている霜柱は踏まない
霜柱が凍っている時は踏まない

いろいろ気をつけていたとしても芝生は生き物ですし、仕事が忙しくて手が取れなかったり様子が見れなかったりすると、なんらかの障害が発生してしまうことがあります。そうすると芝生の中に霜柱が!なんてことになるかもしれません。では、霜柱ができてしまったらどうすればいいのでしょうか。

まず一番やってはいけないことは、霜柱が凍っている状態で踏んでしまうことです。子供ころ、道端や空き地などにできていた霜柱をザクザク踏んで「快感♪」なんてことをやっていた方も少なくないと思います。でも、芝生では絶対にやらないでください。砕けた氷の破片が根を傷めてしまいます。

浮いた地面を押さえるのは氷が完全に溶けてからにしましょう。春までは我慢の日々が続きますが、少しでも緩和させたいという場合は目土をかぶせてください。完全に保護できるとは限りませんが、ある程度の保護作用はあると思います。


霜柱で傷んだ芝生の再生

春の立ち上がり時期に、有機酸酵素EXなどの発根資材を週1回ペースで1~2ヶ月ぐらい連続散布し、合間にスーパーグリーンフードのような土壌改良剤を入れておくと再生が促されます。スーパーグリーンフードはゴルフ場でも傷んだ部分の再生に使われており、まいた後に軽く目土をかぶせておくとさらに効果が高まります。管理人も踏圧で薄くなる部分の再生に使っています。