2016年07月18日(月)

姫高麗はカープラリア葉枯病が進行、KBGはやや復活

カーブラリア葉枯病とPHの考察

まだ梅雨明け宣言は出ないのですが、せみの大合唱が夏を実感させてくれます。ここのところ、雨、多湿、曇り、無風といった葉枯病の好む天候が続いていましたので、姫高麗芝のパッチが増加しました。KBGはスーパーグリーンフードが功を奏し、6月の遅すぎた更新作業の傷みからやや復活してきました。



姫高麗は葉枯病、KBGはやや復活

ケンタッキーブルーグラスは35ミリで維持。雨を利用してスーパーグリーンフードを2回投入した結果、6月下旬の更新作業の傷みから復活してきました。今後は徐々に成長が止まり、暑さとの戦いが始まるでしょう。


姫高麗芝は20ミリで芝刈り。晴天の芝生は本当に気持ちいい。


葉枯病が好む気象条件が多かったため、パッチが増えてきました。褐色に枯れたパッチが点々と発生するのはカーブラリア葉枯病の典型的な症状です。犬の足跡のように見えることから、別名犬の足跡病とも言われます。


芝刈りする前は長い葉で隠れてパッチが見えにくいのですが、芝刈りをするとはっきりと確認できるようになります。


全体的には密度が上がって絨毯のような芝生になってきましたが、密度が上がることは地際の通気性を悪化させ、日があたらない葉も増えます。こういった条件も葉枯病を悪化させる要因になるでしょう。芝生をきれいに仕上げることと病虫害は表裏一体のような関係です。


ケイ酸を与えるためにハードバンを500倍で葉面散布しておきました。芝生などのイネ科植物はケイ酸植物とも言われ、ケイ酸の必要量はチッソのおよそ10倍にもなるそうです。しかも芝生の場合は繰り返して刈り取られることで栄養も奪われますから、本来ならもっと入れないといけないのかもしれません。


土壌のPHを少し下げることによって病害対策を強化できないか試験をしてきましたが、PHを6~6.5程度にするぐらいでは葉枯病の抑制効果はほとんど感じられないのが実感です。PHをもっと下げるとどうなのかについては、今後検証してきたいと思います。PH調整はラージパッチに関してはかなり効果を実感しており、今年はほとんど症状らしきものが現れませんでした。もちろん、他の資材で芝生や土壌の健全性を保つ方向性もプラスに作用しているでしょう。

葉枯病以外の病害については無農薬でも十分対応できそうですから、葉枯病のシーズン(6~8月)だけ農薬を投入する減農薬の方向で手入れをすれば、かなり楽になるのではないかと思います。葉枯病に困っている方は、こういった考え方も検討してみてください。

KBGはこれから暑さとの戦いです。特に熱帯夜が連続するようになると24時間適温を外れる状態が続くことになります。夜間の呼吸にエネルギーを取られるのに、日中は暑すぎて光合成ができない。消費するエネルギーと生産するエネルギーの逆転現象が起きるため、体力を奪われ続けます。このため寒地型西洋芝は夏に弱ってしまいます。予報通り猛暑になると、寒地型西洋芝にとってはつらい夏になります。水やりとこまめな少量の栄養補給で少しでも無事な姿で乗り切りたい。