芝生の害虫を殺虫剤で効果的に駆除する

殺虫剤には予防と駆除の2タイプがある

芝生用に限らず、園芸用殺虫剤には予防と駆除の2タイプがあります。予防と駆除では散布するタイミングが異なりますので、それぞれの殺虫剤の特徴をうまく生かして、効率よく害虫対策をしてください。




害虫発生後なら接触性の殺虫剤

害虫の存在を確認したり、害虫の食害が認められるもしくは疑われる時には、すぐに殺虫する必要があります。そんな時には「接触毒」の殺虫剤を使用します。接触毒の殺虫剤は、薬が害虫にかかると、口や皮膚、呼吸器などから体内に浸透して殺虫効果を発揮します。

接触毒の殺虫剤でよく使われるのはスミチオンです。スミチオンは扱っていないホームセンターが無いぐらい広く流通しており、最も手に入れやすい殺虫剤です。芝生の主な害虫である、コガネムシの幼虫、シバツトガやスジキリヨトウの幼虫、シバオサゾウムシに適用があります。

芝生への施用は1000倍希釈が基本ですが、対象となる害虫によって希釈液の散布量が異なります。これは害虫がおおよそどのあたりに生息しているかの違いによるもので、比較的深いところにいるコガネムシの幼虫やシバオサゾウムシには平米3リットルと多めに散布する必要があります(たくさん散布する方が土壌の深いところまで薬剤が浸透する)。シバツトガやスジキリヨトウの幼虫に対しては、平米0.3~2リットル散布します。

どんな害虫がいるのかよく分からない場合は、深いところにいる害虫を狙うつもりで散布すれば、浅いところにいる害虫も一毛打尽にできます。

薬剤の浸透性を高めるには、土壌の湿り気もポイントです。土壌が乾燥しているほど浸透性が低くなりますから、雨の翌日やたっぷり散水した後に散布すると深いところまで浸透しやすくなります。

スミチオン以外の殺虫剤には、ダイアジノン粒剤5(粒剤3は芝に適用が無いので注意)やフルスゥイングなどがあります。

発生前の予防なら浸透性がある食毒タイプの殺虫剤

今は害虫も食害も確認できないけど発生に備えたい。そういう場合には予防を目的とした浸透性(食毒性)の殺虫剤が便利です。浸透性殺虫剤は、散布した薬剤が芝生に吸収されますので、害虫が発生して芝生を食べると殺虫作用が働きます。

浸透性殺虫剤で比較的扱いやすいのは住友化学園芸のGFオルトラン粒剤です。顆粒状の殺虫剤ですから規定量をぱらぱらまいておくだけでOKです。散布後は根から薬剤が芝生に浸透しますので、害虫が発生したとしても芝を食べたら死にます。
※オルトラン顆粒DXは芝生の適用がありません

効果はおよそ2~3週間ですので、害虫被害が最も高くなる春から秋にかけてタイミングよく散布して予防しましょう。年間の総散布回数は5回以内ですから計画的に使用することが大切です。


結局、接触性と浸透性、どっちがいいの?

接触性を使うか浸透性を使うかは好みの問題ですので、使ってみながら判断するしかないでしょう。最も簡単なのは、食害かなと思ったら接触性のスミチオンを散布しておくという方法でしょう。

芝生が枯れた時に原因がはっきりしないこともありますから、そういう場合に害虫要因を潰しておくという意味でスミチオンを散布することもあります。参照:『芝生が枯れ始めたけど原因がよく分からない

害虫の発生サイクルを応用することで食毒性の殺虫剤が便利になることもあります。例えばシバツトガは卵を産み付けられてから2~3週間ほど経過すると幼虫が孵化して食害が始まります。ですので、シバツトガの成虫が芝生で飛び回っているのが確認されたら、その1~2週間後ぐらいにGFオルトラン粒剤のような食毒性殺虫剤を散布しておくと、孵化した幼虫の食害を防ぐことができます。

多少食害が発生しても構わないのであれば、スミチオンを用意しておけばいつでも対処できますし、出張がちで留守が多いなど芝生の観察が後手後手になりそうであれば、浸透性のオルトランで予防しておく、このような感じで使い分けをしてください。


管理人はどうしているのか

私は基本的に害虫に関しては殺虫剤を使わず放置しています。芝生の健全性を高めたり、害虫が嫌う成分が入った資材を定期散布することによって害虫被害が出にくくしておき、食害が発生したとしても軽微であれば芝生の成長を促して再生させています。

今のところ、この方法で深刻な被害になったことはありません。

お子さんやペットがいるからできるだけ農薬を使いたくないという方は、参考にしてみてください。
参照:『芝生の害虫対策について